滅多に窺い知ることができない刑務所の中だが、実は福祉施設並みの居心地のいい場所だった。塀から出れば地獄、入れば天国という志願者で、いまや高齢受刑者が急増中という。「真相チェイス!直撃御免」コーナーで、塀の中の今を取り上げた。
5人に1人が2年以内に舞い戻ってくる高齢受刑者
女子専用では最大の栃木刑務所(栃木県栃木市)と男子専用の黒羽刑務所(栃木県大田原市)。
まず訪れたのは、60歳以上が2割を超えるという女子専用の栃木刑務所(栃木県栃木市)だ。70代の受刑者に話を聞くと、タクシーの無銭乗車で逮捕され、詐欺罪で一昨年に懲役2年10か月の実刑判決を受けていた。執行猶予が付けられなかったのは、「出所して5日目にまた事件を繰り返したため」で、なんと塀の中はこれで8回目だという。そしてこんな話をする。「兄弟にも見放されて独りで生活するのも大変だし、ここにいれば友だちもいるし」と笑う。
実は高齢受刑者の再犯率は7割以上で、5人に1人は2年以内に再び塀の中に舞い戻ってくるという。だから友だちが多いのだ。
男子専用の黒羽刑務所(栃木県大田原市)には、普通の刑務所では生活が困難な高齢受刑者を収監する「病棟」と呼ばれる特別施設があり、現在38人が収容されている。70代の受刑者は「点検の時間ですから布団を畳みなさい」と再三注意されても反応なし。
スーパ-で万引を繰り返し窃盗で服役中のこの受刑者は、昨年9月から認知症が出てこの病棟に移された。ようやく布団を畳み、点検を終えた後もまた横になっていた。もはや刑務所にいることも分からないらしい。「ここは静かだし良い。ここでゆっくりしようって思う」なんて話している。