「イスラム国」に拘束されていたヨルダン人パイロットを焼き殺したとする映像が3日夜(日本時間2015年2月4日未明)にネットに公開された。ヨルダン国営放送によると処刑は先月3日で、日本人人質の後藤健二さんと死刑囚との交換で「パイロットも殺す」といっていたのはブラフだったことになる。
アブドラ国王の訪米に合わせて殺害映像公開
ネットで公開された映像は約20分。オレンジ色の服を着せられたモアズ・カサースベ中尉がカメラに向かってしゃべるシーンに焼殺映像が続いた。また、今後の殺害リストとして、空爆に参加している複数のヨルダン軍兵士の写真と住宅の衛星写真も載っていた。
アンマン市民はカサースベ中尉の出身地区のコミュニティーセンターに集まり、政府批判や「イスラム国」との対決を叫び、一方でそれを止める声が飛び交った。
ヨルダン政府は「イスラム国」が釈放を求めていたリシャウィ死刑囚の刑の執行を現地時間の4日早朝に行った。ヨルダン軍は「中尉の流した血は無駄にしない。必ず報復する」という声明を出した。
動画の公開は、きのう3日からのアブドラ国王の訪米にぶつけたとみられる。「イスラム国」空爆で協調する両国への揺さぶりだが、ホワイトハウス報道官は「彼らの狙いは逆効果となるだろう」とコメントした。オバマ大統領も「イスラム国」の残虐性を改めて示すものだと非難したうえで、「『イスラム国』を弱体化・壊滅させる。すべてのアメリカ人人質の救出を目指す」と語った。
人質事件の引き金「2億ドル援助」きのう国会で成立
ゲストの敬愛大の水口章教授は「これで不安定性が増すと思います。ヨルダンでは、映像にもあったように、怒りを持っている人たちと巻き込まれたくない人たちがぶつかりあっています」「有志連合で空爆に参加している国々でも、世論が分かれてくるでしょう」さらに、死刑囚の処刑で新たな報復の可能性もあるという。
そんな中、きのうの国会で補正予算が成立した。安倍首相がエジプトで公表して今回の人質事件の引き金にもなった「2億ドル」の人道援助も含まれている。