テニス全豪オープン(2015年)の車イス男子シングルス、ダブルスで、3年連続の2冠を達成した国枝慎吾選手(30)がきのう2日(2015年2月)に帰国し、「順調に仕上げて満点に近いくらいいいできだった」と満足気に語った。目標は来年のリオデジャネイロ・パラリンピックはもちろん、2020年の東京パラリンピックでも金メダルをとって4連覇だ
石井大裕アナがフェデラー選手のエピソードを紹介した。まだ錦織圭選手がトップクラスになる前、日本人記者から「なぜ日本にはトップクラスが出ないと思うか」と聞かれて、「なにを言ってんだ。国枝がいるじゃないか」と答えたという。
北京、ロンドン・パラリンピック連覇。年間グランドスラム2回
たしかに国枝は強い。9歳のときに脊髄に腫瘍が見つかり車イス生活になった。母の勧めで11歳から始めた車イステニスは、2008年の北京パラリンピックのシングルスで初の金メダルに輝き、翌年にはプロ転向した。そのとき、「見せながら、なお勝つことがこれから必要になる」と話していた。プロは勝つだけではだめだという決意だ。
12年のロンドン・パラリンピックでは史上初の連覇を遂げ、昨年は2度目となる4大大会の年間グランドスラムを実現した。シングルス、ダブルス合わせてグランドスラム36勝である。
その強さはどこからきたのか。まず、世界一といわれるチェアワークだ。同じ場所でクルクルと回りながら、トスされるボールを受けるトレーニングがすごい。車イス部門ではツーバウンド返球が認められているが、国枝はほとんどをワンバウンド返す。この攻撃力はチェアワークが生み出す。
次はメンタル。ラケットには「オレは最強だ」と書いてある。「試合で不安になることがあった。あれだけ練習してるのに自分を信じられないのか」。そして考え出したキーワードだという。これで「迷いがなくなった。プレーも見違えるようになった」
「リオデジャネイロと東京のパラリンピックでも金メダルとります」
「日々進化していくこと。そこが一番大事かなと思います」と話す。向上心とトレーニングが絶対王者をつくった。「毎年、新たに気づくことがあるんです。気づくたびに『また強くなれる』と思う。その時が一番楽しいですね。それがなくならない限り、モチベーションはなくならないと思います」
車イスを昨年から7ミリ高くしたという。高めのバックハンド対策だ。「変わります。大きな変化がある」という。東京オリンピック・パラリンピックのときは36歳になる。「大丈夫です。車イスは40歳くらいまでできる」
司会の夏目三久「私が聞いた時も、7ミリがこれまでのベストだといってました」
メンタル・トレーナーに「世界一になりたいなら叫びなさい。『オレは最強だ』と」といわれたという。毎日、鏡の前でも、レストランででも叫ぶんだそうだ。
キャスターの斎藤孝「(ラケットに書いて)文字で見るのはいいと思う」