「イスラム国」が公開した後藤健二さんの殺害映像について、現地メディア「TahrirSy」はツイッターで撮影場所は「アレッポのマンビジュ近く」と報じている。マンビジュはトルコ国境に近いシリア北部にあり、「イスラム国」は後藤さんを釈放するために国境近くまで移動させていた可能性がある。
そこまでしながら、なぜ殺害したのか。中東調査会の高岡豊・上席研究員は「これについてはイスラム国の間に内紛や分裂があるという憶測を呼んでいます」という。
いったんは「28日解放」決まったという情報
カメラマンの渡部陽一も次のように見ている。「ヨルダンに捕らわれているサジタ・リシャウィ死刑囚を引き戻すのか、そのまま放置しておくのかでイスラム国の中で議論があったと思います。イスラム国の本流であるイラクを抑えているバグダティ指導者の組織に対し、シリア側のラッカを拠点としている新しいイスラム国側が、『リシャウィ死刑囚を引き戻さなくていい』という駆け引きがあったのではないでしょうか」
シリアからの避難民の中には、「28日の段階まで後藤さんの解放が決まっていたが、イスラム国内部で内紛があり解放されなかった」という情報もあった。
では、「これから悪夢が始まる」と脅された日本はどう立ち向かったらいいのか。橋口いくよ(作家)は「自分たちとの関連で論じるときに、自己責任論になってしまう場面によく出くわしましたが、もうそういう状況でないと感じますね。自己責任論から一歩出て視野をもっと広く持つことが大事になってくるのではないでしょうか」
文
モンブラン