「人質交渉」はイスラム国対ヨルダン!日本に出る幕なし
後藤健二さんが無事解放されるのをテレビを見ながら待ち続けたが、何ら進展はなかった。私は昨夜29日(2015年1月)午後11時頃、ヨルダン政府がイスラム国に拘束されているヨルダン軍パイロット・カサスベ中尉の安否が確認されなければ収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放しないと発表した時点で、交渉は長引くだろうと思わざるを得なかった。
イスラム国対ヨルダンという構図になり、日本が出る幕はなくなった。あるとすれば、後藤さんに対する身代金として多額のカネを払うことしかない。たぶん水面下ではそうした交渉が行われているのだろうが、成否はわからない。
『毎日新聞』1月30日付朝刊は、イスラム国が日本人人質事件に関して支配地域の住民にインタビューした映像を29日にインターネット上で公開したと報じている。<住民らは、日本を米軍主導の有志国連合の支持国とみなし、「米国による広島、長崎の(原爆投下による)虐殺を忘れ、なぜ米国がイスラム教徒を殺害するのに手を貸すのか」「十字軍(米欧)連合に参加するという過ちを犯した」などと批判>
イスラム国の意向に沿った発言をさせられているのは間違いないだろうが、日本をはっきりアメリカと同類の「敵国」だと見なしている。この事件がどう決着するかわからないが、安倍首相のように「テロに屈しない」というだけでは、日本人がイスラム過激派たちの誘拐やテロのターゲットになることから防げはしない。
アメリカから距離を置き、アジアの一員として平和外交を全面に打ち出し、中東諸国との友好関係を築いていくほかに道はないと思う。そのためにはウルトラタカ派の安倍首相にお引き取りいただかなくてはならないこと、いうまでもない。