残虐テロ組織で片づけられない「イスラム国」!制圧地域で予防接種や病院・老人ホーム

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安倍首相「テロと戦う」言う資格あるか!?去年秋からわかっていたのに等閑視

   イスラム国による日本人人質事件は動きが急で週刊誌のサイクルでは残念ながら追いつかない。そこで編集部は考える。そうすると週刊誌の業とでもいうべきか、後藤健二さんと湯川遙菜さんについての人物評に逃げる。

   きょう28日(2015年1月)発売の『週刊文春』は、湯川さんについては「夜逃げ、自殺未遂、妻死別」と彼の哀しすぎる人生について触れている。後藤さんについては<紛争地帯の一般民衆に寄り添う>ジャーナリストとして評価しながらも、彼の3度の結婚歴や<画になる画像を計算して撮ってくる>売り込み上手なこと、大学を出てから就職したボディビルジムで金銭トラブルを起こしたことなどを取り上げ、後藤さんの実母としてたびたびメディアに登場する石堂順子さん(78=20年ほど前に離婚している・筆者注)については、会見で「原発は反対」と発言したことを批判的に書いている。

   私には枝葉末節でしかないと思われるが、情報がないための苦肉の策であろう。そのなかで、他のメディアに先がけていち早く安倍首相外交のおかしさを追及したのは『週刊ポスト』だった。安倍首相に「テロと戦う」などといえる資格があるのかと問うている。

   後藤さんがシリアに向けて出発したのは昨年10月22日。後藤さんの妻に約10億円の身代金を払えというメールがあったのは11月初めだった。週刊ポストはすぐにその情報を入手して動いたが、外務省から<現地のシリア人を仲介役にして2人の解放の交渉中なので、人命のために書かないでくれといわれた>という。だが、外務省はその後もだれ一人現地に入って救出に動いてはおらず、仲介者任せにしていたのだから「本気度は疑わしい」と週刊ポストは批判する。

   身代金交渉は表に出れば難航するのはこれまでの人質事件でわかっていることだから、解決するなら水面下で敏速にやるしかない。もし多額のカネをテロ組織に払ったということが明らかになれば、国内だけではなく他国からも非難されることになる。しかし、安倍首相はそうしたことを考えることなく、こういったという。

<「フランスのテロ事件でイスラム国がクローズアップされている時に、ちょうど中東に行けるのだからオレはツイている」(官邸関係者)>

   さらに中東支援の総額25億ドルについてもこう言い放ったそうだ。<「日本にとってはたいしたカネではないが、中東諸国にはたいへんな金額だ。今回の訪問はどの国でもありがたがられるだろう」>

   週刊ポストは<テロは対岸の火事で、自国民の人質には一顧だにしないのが「積極平和外交」の実態だったのか>といっているが、その通りである。

   しかし、中東訪問中に情勢は一変し、イスラエルで記者会見に臨んだ安倍首相には自信の欠片もなかった。たちまち日本へ飛んで戻り、自分の中東訪問が2人の人質の生命を危うくしたかもしれないことなどおくびにも出さず、テロと戦う、テロには屈しないなどとうわごとのようにいうだけである。

   この政府の無策にもかかわらず、国民の多くが日本政府の対応に賛意を表しているのは、新聞、テレビがこの事件に対する政府の対応について正確な報道をしていないからだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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