「イスラム国」はけさ29日(2015年1月)、人質交渉の新たなタイムリミットを伝えてきた。後藤健二さんとみられる音声をインターネット上に投稿したもので、次のような内容だった。
「私は後藤健二です。あなたたちに送るように言われたメッセージです。もし29日日没(現地時間)までにトルコ国境に、私の命と引き換えになるリシャウィを連れてこなかった場合に、ヨルダン軍パイロットのムアーズをただちに殺害する」
トルコが絡んでいよいよ複雑に
日本時間28日夜には「ヨルダン政府の情報相がムアーズ中尉が解放されれば、リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると語った」と報じられ、ヨルダン外相は「後藤さんは解放交渉の一部になっている。日本政府とはとても緊密に連絡を取り合っているが、ヨルダン軍パイロットの解放が最優先だ」と答えている。
「ヨルダン軍パイロットの解放」と「リシャウィ死刑囚の釈放」を互いに主張し噛み合わないなかで、メッセンジャーみたいに使われている後藤さん本人の解放については言及されていない。安否すらわかっていない。
けさメッセージにも不審な点が残る。同志社大大学院の内藤正典教授は次のように話す。「トルコ国境に連れて来いと言っても、シリア側には空港がないので無理でしょう。トルコ側に空港はあるが、いったんトルコにリシャウィ死刑囚が入ったら、今度はトルコ政府が引き渡しを認めないだろう」
フリージャーナリストの富岡浩介は「両方がタテマエ論を言い続けてきたが、とにかく水面下では連れてこいというところまで話が進んだのは確かでしょう」とみる。現地時間29日日没は日本時間30日午前零時ごろになる。
文
モンブラン