イスラム国に拘束されている後藤健二さんの釈放条件は、サジダ・リシャウィ死刑囚との1対1の交換だとイスラム国があらためて要求してきた。昨夜27日午後11時ごろ(2015年1月)、後藤さんとみられる画像とメッセージがネットに投稿された。ヨルダンが最優先としていた空軍パイロットのムアーズ・カサスベ中尉の釈放には触れていない。期限は24時間と指定してきた。
突かれた「空軍パイロット最優先」方針
メッセージは「私は後藤健二だ。これは最後のメッセージになると言われた。私の自由を阻む障害は、リシュウィ死刑囚の引き渡しを遅らせていることだと言われた」と述べ、「私と彼女の1対1の交換だ。これ以上遅らせると、ヨルダン人パイロットは死ぬことになり、その後に私も殺されるだろう。私には24時間しか残されていない」と語っている。
「昨日の夜、急展開になりましたね」
司会の夏目三久が水口章・敬愛大学教授に聞く。
水口「今の状況になりますと、ヨルダンのアブドラ国王の判断が中心になりますね。これは人質問題だけでなく、ヨルダンの王室そのものの存立にかかわることになります」
ヨルダンの交渉について「後藤さんとリシャウィ死刑囚の1対1の後のパイロットのムアーズさんに関しては何もコメントがありません。この後も交渉が展開される恐れもあり、国王は判断できないと思う。ヨルダンは非常に苦しい」とみる。
ジャーナリストの常岡浩介氏はイスラム国が1対1を要求したことについて、「ヨルダンは後藤さんよりパイロットを最優先として言って人質の価値を高くしてしまったため、そこを狙われました。リシャウ死刑囚の釈放のあと、別の要求が出てくる。それまでムアーズさんを釈放しないでしょう。しかし、リシャウィ死刑囚が出てこなければ、ムアーズさんを殺す。ヨルダンを極めて困らせるという形になっています」
背景に反アブドラ国王の動き
今後の展開について、水口教授は「アブドラ国王は部族の人たちに支えられていますが、部族の人たちの要望はパイロットのムアーズさんの釈放です。この背景の根底には反アブドラ国王の動きがあり、判断を間違えると、王室を守るか守れないかという非常に厳しい状況になります」
アナウンサーの井上貴博「このメッセージは冒頭には『日本国民、そして日本政府へ』といっていますが、最後には『ボールはいまヨルダン側にある』といっています」
ヨルダンはさらなる厳しい対応に迫られた。