昨夜26日(2015年1月)、「イスラム国」がウェブサイトに新たなメッセージを発信した。戦闘員にたいして、地上戦に備え新たなテロ行為を呼びかけるような内容だ。最初の書き込みは午後5時ころで、「アルフルカーンがそろそろいいことを聞かせてくれるだろう」というものだった。アルフルカーンとは「イスラム国」のメディア部門のことだ。「悔しさで死んでしまえ」ともあるが、意味不明だ。
6時間後の午後11時ころには音声メッセージが流れた。アラビア語で「臆病な犬オバマは地上戦を警戒している。オバマは勝利を実現できない。最終的には地上戦になる。絶対にわれわれが勝利する。戦闘員よ、準備せよ」と呼びかけている。
カナダやフランス向けに「恐怖を与えよ」などとテロを予告している。後藤健二さんについては触れなかった。
後藤さん解放交渉行き詰まり・・・ヨルダン「自国民(パイロット)優先」
14日に公開された後藤さんの音声メッセージについて、菅官房長官は「後藤さん本人である可能性は高い」と認めた。メッセージではヨルダンで収監されているサジダ・リシャウイ死刑囚の釈放を後藤さん解放の条件としているが、簡単ではない。
ヨルダンは「イスラム国」にとらわれている空軍パイロットとサジダとの交換を交渉中ともいわれ、世論も「交換なら自国民(パイロット)優先」との声が強い。アブドラ国王も「パイロットが最優先」と話していると新聞は伝えている。
ただ、ヨルダンと「イスラム国」との関係はきわめて悪く、死刑囚の釈放に応じる可能性は低いという見方が強い。宗教上の問題もある。「イスラム国」はムハンマドの後継者を主張しているが、歴史的に正統な後継者であるヨルダンのハーシム家とは相容れない。
キャスターのテリー伊藤「(サジダ釈放は)難しいと思う。60人を殺しているテロリストですから。金はほしくないというのだって、ロジックだと思う。本当はほしい。水面下で金の話し合いもありえますよ」
狙いは「反イスラム国」ネットワークの混乱
新たなメッセージについて、現代イスラム研究センターの宮田律理事長は「日本政府との交渉がうまくいってないんじゃないかという感じがしますね。彼らは強気のメッセージで本心を隠しているかも」
司会の加藤浩次「日本政府はまったく譲歩していないということですか」
宮田「日本はアメリカ、イギリス、オーストラリアと協議しているが、これらの国はテロには譲らない国ですからね」「ヨルダンにしても、法治国ですから死刑囚の釈放は認められないと思います。下手に譲歩したら王家だって危うくなる」
加藤「交換は難しいということですね」
宮田「世界の耳目が集まるところでは考えにくいでしょう」
テリー「混乱させることがねらいでしょうか」
宮田「ありえます」
自爆テロの実行犯はいわば使い捨てのコマで、組織で重要な人物であるはずはない。「イスラム国」の真意は不明だが、生きて帰れば宣伝にはなるということなのか。日本人人質事件に日本と関係のいいヨルダンを巻き込むことで、事態を混乱させるねらいとも見える。