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大手出版社KADOKAWAが募る300人リストラ!ニコ動との経営統合が引き金?

   年末年始の週刊誌がつまらない。印象に残ったのは週刊現代の児島美ゆきが告白した高倉健との愛の思い出ぐらいだ。きのう、ジャニーズ事務所のメリー喜多川氏のインタビューを10ページも掲載した『週刊文春』を、なんでこれほどまで大きく取り上げなくてはいけないのかわからないと書いたが、読者の読みたいものと編集部が考える読ませたいものとの乖離が大きくなってきているからではないか。

   百田尚樹氏が書いた「殉愛」をめぐるトラブルを取り上げなかったことも含めて、週刊誌が反権力だとかタブーに挑戦などといっているのは「嘘くさい」と読者がわかってしまったからだと思う。

   新聞、テレビなどもそうだが、身内に都合の悪いことは黙っていて、外から指摘されると抗議したり、場合によっては告訴をちらつかせる。自分たちがメディアで仕事をしていることを自覚していない人間が多くなってきているのだ。たとえば、大手出版社KADOKAWAがやっている理不尽なリストラを扱うメディアなどどこにもない。私の友人・今井照容氏がメルマガ「文徒」でこう憤っている。

<「KADOKAWAが300人程度の希望退職者を募集する。3月末時点で41歳以上かつ勤続5年以上の正社員を対象に、3月2~20日まで募集する。退職日は4月30日。応募者には特別支援金の支給と再就職支援を行うそうだ。
   確かに、こういう事態は角川ホールディングスが解消され、同社のもとに結集していた各社が経営統合された際から予想されていた。
   私は今更驚きはしないが、KADOKAWAの社員が『はい、そうですか』と、このリストラを簡単に受け入れる神経が私にはわからない。角川歴彦よ!佐藤辰男よ!松原眞樹よ!君たちは何故に300人をリストラに至らしめた自らの経営責任を問おうとしないのか。順番が逆だろう。
   まずもって角川歴彦が最大の『戦犯』ではないのか。角川の私財を没収してでも、経営責任を負うべきではないのか。君たちの労働組合は何をしているのか。(中略)こういう局面において無期限ストライキを断行せずして何の労働組合なのか。他人事ながら腹の底から怒りがこみあげて来る」>

   KADOKAWAとニコニコ動画のドワンゴが経営統合したが、いまのところなぜ両者が一緒になったのか、何をしようとしているのかが見えてこない。図体だけ大きくしていくだけの経営では、いずれ頭打ちになることはわかっていたはずだ。

   経営がうまくいかないからリストラでは、社員はやりきれまい。私のいた講談社でも、90年代半ばに2000億円あった売り上げをわずか10数年で700億円も落としても、経営陣は誰も責任を取らなかった。出版不況の元凶のひとつはこうしたところにあるのだと、私は思う。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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