「イスラム国」よる日本人人質事件で、現地対策本部が置かれているヨルダン・アンマンで取材するテレビ朝日の陣中文記者によると、現地対策本部長を務める中山泰秀外務副大臣に変化が見えてきたという。連日行われる記者会見が22日(2015年1月)は大幅に遅れ、翌23日午前零時を過ぎてから姿を現し会見に臨んだ。そのなかで副大臣から注目の発言があったという。
「今は情報収集をやる段階」としつつも、イスラム国側との接触を否定しなかった。さらに日本側の主張についても「理解されると信じる」と答え、実質的な接触があることをうかがわせた。
菅義偉官房長官も人質の安否を問われ、「そこはもう承知はしていません」とすでに安否確認の段階を通り越し、救出交渉の糸口を掴んだことを示唆したともとれる発言だった。これらの変化についてテレビ朝日外報部の内藤正彦部長は「おそらくイスラム国とコンタクトが取れている可能性が強い」とみている。
「人質カード」切られる前になぜ対応できなかったのか
しかし、吉永みち子(作家)から政府の対応を批判する見方が出た。「湯川遥菜さんが拘束されているのは分かっていたわけで、イスラム国がこの人質のカードをいつか切ってくる可能性がありました。今まで何をしてきたのかと思いますね。カードを切られない状況を作っておかねばならなかったのと、カードが切られたとき何できるのかというルートを作っておいて欲しかったですよ。起きてから情報集では対応できない」
確かに、軍事で対応できない日本は情報戦で先手を打つ必要があるのに、政府の対応は後手後手に回った。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト