とにかく俳優陣が地味である。主演があの田中麗奈で、初代「なっちゃん」のCM以外に記憶がない。田中と敵対するのが若村麻由美で、若村の夫で田中の不倫相手が村上弘明、若村を慕っていて彼女に命じられるまま田中と交際する青柳翔、ほかに田中の書道教室の仲間に三浦理恵子、高橋かおり、その書道教室の先生は池畑慎之介......というように、どこまでたどっても地味な俳優ばかりで、よくぞ企画が通ったなという感じだ。
見せ場は村上弘明と青柳翔の筋肉美だけ
番組サイトの写真では、なぜか村上と青柳が上半身を露わに、誇らしげに筋肉美を披露している。男の裸で視聴者の心を掴もうという魂胆か。それしか見せ場がないのか。
演出は光野道夫。フジテレビで「101回目のプロポーズ」「素顔のままで」など数多くのヒットドラマを手掛けてきた敏腕ディレクターで、昨年（2014年）、上戸彩主演で話題を集めた「昼顔～午後3時の恋人たち」を最後に定年退職した。現在は共同テレビに籍を置き、その第1作がこの作品となった。
光野にとっては、「昼顔」に続き2作連続の不倫モノとなるが、あちらが不倫妻にも一理あるという描き方なのに対して、こちらは妻VS愛人バトルのように描かれ、エグみが増している。女の格付けが話題になった沢尻エリカの「ファースト・クラス」＋「昼顔」といったところか。
田中麗奈はもう34歳らしいが、こういう愛人役をやっても色気や女の情念のようなものがまったく見えず、そういう意味では残念。その分、若村麻由美が「あの女、絶対許さない！」などとかつての大映ドラマ並みにわかりやすく、大仰な演技で楽しませてくれるので、こちらに期待したい。
惜しいのは放送時間である。木曜21時ではなく、金曜22時か東海テレビの昼ドラでやったほうがしっくりきた。古色蒼然としたタイトルもいかにも東海ドラマ風。（木曜よる9時～）
くろうさぎ