イスラム過激派組織「イスラム国」が日本人2人を人質にして身代金約236億円を要求してきたが、政府は72時間の期限はあす23日(2015年1月)の金曜日午後2時50分頃とみている。安倍首相は人命最優先を掲げる一方、テロに屈しないと強調している。
「あさチャン!」は2013年6月、シリア取材中にイスラム国に一時拘束され、14年4月に解放されたフランス人ジャーナリスト、ニコラ・エナン氏に話を聞いた。
「拘束中も交渉が行われているのはわかった」
「私が拘束された時は映画のようでした」
エナン氏は人質になった状況をそう語る。車が止まって、覆面をした男たちが出てきて車に乗せられた。たった10秒で手を縛られ、肩から上着をかぶせられた。そして、簡易な牢獄に入れられた。生活、衛生面はひどい状況だった。兵士たちの振る舞いはまちまちで、食料や医薬品に配慮してくれる者もいたが、とんでもない乱暴な者もいた。
人質暮しは約10か月にわたったが、解放に向けた交渉が早くから行われていることは感じていたという。「なぜなら、ビデオ撮影で自分たちが生きている証拠を交渉人に示すため、何度も出るように言われたからです」
今回の日本人2人が人質になって身代金を要求されていることについて、エナン氏は「このビデオに入っていたメッセージは心配です。1つ目の理由は交渉期限が72時間と短すぎます。2つ目は要求額が信じられないほど高い。本当に交渉する意図があるのか、疑問に思えてきます」と憂慮している。
「イスラム国」活動資金の20%は身代金
政府はさまざまなルートで交渉の糸口を探している。去年(2013年)、イスラム国を取材したフリージャーナリスト常岡浩介氏は「カギはトルコです。トルコの諜報機関はイスラム国と水面下で交渉して人質全員を解放させたという実績があります。トルコ当局に協力を仰ぐことを是非やるべきことだと思います」と語る。
敬愛大学の水口章教授は「解放のキーパーソン」として「宗教指導者と地元の部族長」をあげ、「イスラム国の弱いところ」は資金だと指摘する。「活動資金が苦しくなってきていると思います。予算的には20億ドルぐらいですが、そのうち20%は人質を取った資金なんです。ですから、これからも人質を取っていくことも考えられます」
司会の夏目三久「ということは、身代金の支払いが解放への道となるのでしょうか」
水口「そうですね。直接行うのは今の状況では難しいですが、過去の外国の様子だと、後から支払ってその地域の開発などの名目で支払っていくという形は見られます」
アナウンサーの井上貴博「表向きは直接渡してはいないということですか」
水口「そうですね、はい」