航空保安法などに問われた大韓航空のチョ・ヒョナ前社長(40)の初公判がきのう19日(2015年1月)に韓国・ソウル西部地裁で開かれた。財閥一族の横暴をぶっ叩く人民裁判の色合いが濃いが、韓国マスコミの過熱ぶりは異常としか思えない。リポーターの阿部祐二までがすっかりその気になって「ナッツ姫の横暴ぶりが明らかになりました」という。
グリーンの未決囚服着せられ「職業は無職です」
起訴状によると、チョは「さっきサービスしてたあのアマを呼べ。おい、お前、そこでマニュアルを探せ。ひざまずいて探せってんだよ」とののしったという。とても副社長、お嬢様のものとは思えない。
法廷では未決囚のグリーンの服を着せられ、髪を前にたらして終始うつむき加減だったという。起訴状朗読の間もじっと動かず、裁判官とのやりとりも、「職業は?」と聞かれて「無職です」、「何か発言は?」にも「ありません」とだけ。
起訴状には、「この飛行機飛ばさない。機長に止めるよう連絡しろ」などとナマの言葉が記されていた。マニュアルについてのチョの勘違いがわかったあとも、パーサーに「最初からきちんと答えられなかったから乗務員をどなってしまった。お前のせいだ」と逆切れして、「降りろ」と命令した経緯がしるされていた。
弁護側は謝罪から始まったが、起訴状について「一部に誤りや誇張がある」として、起訴されている5つの罪状のうち3つを否認した。とくに航空保安法の「航路変更」については、「航路とは空のことであり成立しない」と反論した。たしかに、航路変更はハイジャックなどを想定した条文で、副社長と乗務員のやり取りに適用することは無理がありそうだ。隠蔽工作など「偽計公務執行妨害罪」も否認した。弁護側が認めた罪状は強要と業務妨害(機内で騒いだ)の2つだけだ。