煽るメディア「韓国・中国叩くと売れる」
昭和史を研究する作家の保阪正康さんは、昨今の風潮のなかで、メディアの重要性を指摘する。メディアには「反日、売国、国賊」といった「戦時中、異論を封じる際に使われた言葉と共通点を感じる」言葉が氾濫しているからだ。
「こういった乱暴な言葉が社会にまき散らされ、『反日』『売国奴』って言われやしないかと恐れ、おびえる人が出て、言論の自由を享受しなくなる人が増える。そのことが恐ろしいんです」
大手雑誌記者によると、出版業界などでは韓国や中国に関する、より攻撃的で過激な内容が求められているそうだ。「とにかく韓国を叩けみたいな企画もあるし、何もないときでも、とにかくやれみたいなのはある。やっぱり売れる。『まずい』と思うなら買わなければいい話だが、結果的にあおってるのかもしれない」
保坂氏は言う。「自分たちは100%正しく、美しく、よくて、相手が悪いんだとなったら、他のものが見えなくなる恐れがあります。社会全体が多様性を失うし、知性も失うし、暴力的な方向へ近づくことになります」
*NHKクローズアップ現代(2015年1月13日放送「ヘイトスピーチを問う~戦後70年 いま何が~」)