パリの週刊風刺新聞「シャルリー・エブド」を襲撃して12人を殺害したイスラム系の兄弟はいまも逃走中だ。パリ近郊ではきのう8日(2015年1月)に銃撃事件が起きて女性警官1人が死亡したが、新聞社襲撃事件との関連は明らかでない。警察当局はフランス全土に厳戒態勢をしいて行方を追っている。
襲撃犯の身内ら10人逮捕
フランス政府が犯人と特定したのは、サイード・クアシ(34)とシェリフ・クアシ(32)の兄弟で、アルジェリア系のフランス人だ。弟は過去にイラクへ戦闘員を送ったとして有罪判決を受けていた。2人は銃の扱いに慣れていたことから、何らかの戦闘訓練を受けていたと見られる。
襲撃に加わっていたもう1人の18歳の少年ハミド・ムラドはベルギー国境に近い町で警察に出頭して逮捕された。クアシ兄弟の親戚で、襲撃の補助的役割をしていたらしい。警察はほかに9人を逮捕して調べているが、うち7人は兄弟の身内だという。
クアシ兄弟と見られる武装した男2人が、パリ北東80キロのガソリンスタンドで食料などを奪っており、一帯でしらみつぶしの捜索が行われている。
2人は襲撃の際、「(予言者)ムハンマドの復讐のために殺した」と叫んでいた。新聞がムハンマドをはじめイスラムを風刺し続けていたことを指すらしい。フランス政府は事件の背後関係について、「イスラム原理主義に共感する大規模な組織が関わっている可能性がある」としている。
殺害されたステファン・シャルボニエ編集長は度重なる殺害予告などにも、 「ひざまづくより立って死ぬ」と姿勢を変えなかった。同紙は来週も休刊しないという。
シャルリー紙を支持しテロを非難するデモがフランス各地で起こり、全国で10万人が街頭に出た。「私はシャル リー」というプラカードが連帯の合い言葉だった。