会社が儲かっても上がらぬ賃金!純利益1兆8281億円のトヨタは給料アップにたった1・3%
アベノミクスの「トリクルダウン」戦略とは、富めるヤツがさらに儲かれば、そんなヤツらがどんどんカネを使って貧しい人間にも行き渡るというものだが、そんなものは気配も感じられない。
週刊ポストは財務省の法人企業統計を出して、<アベノミクスが始まった2013年度に「資本金10億円以上の大企業」は経常利益を平均約34%も伸ばしたが、「資本金1000万円未満の中小・零細企業」は平均マイナス2%の減益だった>といっている。さらに<リストをさらに細かく見ていくと、日本の政治が明らかに権力者の取り巻きだけが利益を得る「途上国型」へと大きく退化しつつあることがわかる>としている。
円安でたっぷり利益を上げたトヨタ自動車の平均年収も43万円増の794万円、日産は67万円増の766万円にはなっているが、トヨタは13年度で1兆8231億円の純利益をあげているのに、社員の給料アップに使った金額はたった約240億円、純利益の1.3%しか使っていない。
トリクルダウン効果がないことを象徴的に示すのが、自動車業界を中心に人材派遣を行っている東証一部上場の企業「アウトソーシング」で、同社の平均年収は5万円しか上がっていなくて289万円だという。大企業はまるまる肥え太り、内部留保で貯め込み、社員には雀の涙ほどのベースアップを施し、下請けには涙も出さない。
驚くのはトヨタや新日鐵の大卒事務職や技術職の年収の高さだ。トヨタの大卒は入社7年目の29歳で約650万円、出世の早い人間は40歳課長で約1200万円になるという。新日鐵も平均年収569万円だが、これは高給の管理職を排除しているからで、30歳そこそこで管理職に昇格すると年収1000万円台に近づくという。大企業と中小とで格差が広がり、社内でも高卒と大卒で格差があり、出世するかしないかで大きく賃金格差が広がっていく。
大手商社では大きなプロジェクトを成功させれば40代でも3000万円に届くという。年収200万円しかないワーキングプアは、この数字をどう見るのだろうか。こうした富める者だけをさらに富ませるアベノミクスは、日本人の大多数の貧しさの上にあることを安倍首相は気付いてはいまい。
アベノミクスを盲目的に礼賛する大新聞やテレビは、これからますます安倍首相にすり寄っていくことであろう。週刊誌の役割は常に弱者や貧しい者に寄り添って、政権批判をこれまで以上に強めていかなければならないはずだ。