過激な風刺画で知られるパリの新聞社がきのう7日(2015年1月)、武装した男たちに襲われ、新聞発行人をはじめ記者、漫画家らのほか、警備の警官も含む12人が殺害され、11人が負傷した。男たちは車で逃走したが、フランス警察当局は男たちを特定した模様で、行方を追っている。
フランス国籍のイスラム系34歳・32歳兄弟と18歳少年
襲撃されたのは「シャルリー・エブド」という発行部数3万部の週刊新聞で、さまざまな事象を風刺画で見せるのが売りだ。とくに、イスラム関係では11年にムハンマドの風刺画が物議をかもし、社屋に火炎瓶が投げ込まれたことがある。最近も発行人に殺害予告が届いており、警察官が警戒にあたっていた。
現場はパリの市庁舎にも近い住宅街で、男たちは正午前、覆面姿で編集会議が行われていた部屋になだれこんで、自動小銃を乱射した。さらに外に出てからも、駆けつけた警官と激しく撃ち合い逃走した。車は3キロほど離れた場所に乗り捨てられていた。
男たちは流暢なフランス語を話し、銃のほかロケット砲も持っていたといい、かなりの軍事訓練を受けていたふしがある。また、「神は偉大なり」「予言者(ムハンマド)の復讐だ」と叫んでいる映像もあり、イスラム風刺画への報復ともみられる。
オランド大統領は現場に駆けつけ、「表現の自由へのテロだ」として徹底的に捜査すると表明した。警察はすでに身元を特定している模様で、フランス在住の34歳と32歳の兄弟と18歳の少年。いずれもフランス国籍をもつイスラム系国民で、うち1人はイラクへ人を送ったとして有罪判決を受けたことがある。
風刺が売りの「シャルリー・エブド」自らも「無責任新聞」
「シャルリー・エブド」は題字の下に、小さく「無責任新聞」とうたっているほどのまさに風刺の新聞。毎週水曜発行で、この日の紙面では「若者はなぜジハードに感化されていくのか」とイスラム国を中心とする動きを揶揄していた。先週は、イスラム国の指導者バグダディを茶化していた。
フランスは昨年、アメリカに同調してイスラム国への空爆に加わっているが、一方でイスラム国へ渡ったフランス国民は900人を超えるといわれている。
キャスターのテリー伊藤は「フランスの風刺画は独特で、言葉より絵で刺激を与えてしまった可能性がある」とややピンぼけ解説。
年末にパリを訪ねたというおおたわ史絵(内科医)は「もともと多民族国家ですし、観光客も多いから、チェックは難しいでしょうね」
フランス警察も鍛えられている。捜索は銃撃戦覚悟だ。これがどう展開するか。フランス全土で緊張が続く。