神戸市内から車で2時間も走った山間に、太巻きを1日2000本も売る店がある。近隣住人はもちろん、関西、四国、さらには関東など全国から買いに来るのだという。おかんの太巻きといわれる1本540円の「天船巻きずし」はなぜ売れているのか。
地元の素材だけで作る「具がたっぷり」
その店「マイスター工房八千代」は兵庫県の多可町にある。見渡せば周囲は山と田んぼだ。店もどこか事務所といった感じで、お洒落でも凝っているわけでもない。しかし、出てきた中年女性は両手に重そうに紙袋を抱えている。「10本づつふた袋。もう数えきれないくらいやって来てます」
この太巻きを開発した藤原たか子さんは「ホント売れてんねん。うち、なんでか知らんけど...」と話す。具はきゅうり、しいたけ、高野豆腐、たまご、かんぴょうといたって普通だ。それがなぜ売れているのか。司会の夏目三久が説明する。
「ご覧ください、具の多さ。ご飯と具の割合は1対9ぐらいでしょうか。この多可町には平成名水百選に選ばれた美味しい水が豊富に湧き出ていて、素材はその水で作ったものばかりなのです」
包装紙に作った女性の名前のハンコが押されている。「さゆり」「道子」...。藤原さんはこう話す。「絶対に妥協はいかん。120%ぐらいいいものを作ってほしいんです。ハンコはその自信に現れです」
真面目な素材で、真面目に作っているところが人気の秘密なのだ。
キャスターの齋藤孝「スタジオには持って来てないの?」
夏目「ごめんなさい。ないんです」
カズキ