北朝鮮の金正恩第一書記暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」がきのう25日(2014年12月)からアメリカで公開され、大勢の観客がつめかけた。
映画は金正恩に独占インタビューするテレビジャーナリストが、CIAから暗殺依頼を受けるドタバタだ。下着姿の喜び組が登場したり、金が米国の歌を口ずさんだりするシーンもある。ソニー・ピクチャーズが約50億円をかけて制作し、全米の映画館で上映の予定だったが、公開前に大規模なサイバー攻撃を受け、「2001年9月11日を思い出せ」というテロ予告ともとれる声明も出されたため、ソニー・ピクチャーズは公開をいったん中止にした。
これにオバマ大統領が「どこかの独裁者が検閲を課す社会は米国では認められない」と語り、公開か中止かの議論も沸騰。当初予定の10分の1の300の映画館で公開となった。
映画館前に長蛇の列「アメリカの言論の自由を代表するつもりで見に来ました」
ロサンゼルスの映画館前から星野慎吾記者が「上映までまだ30分あるのですが、長い列ができています」とレポートする。手荷物チェックを受けて入場した。女性客の一人は「映画には期待していないけど、アメリカの言論の自由を代表するつもりで見に来ました」。男性客は「北は何を恐れていたのかわからない」と話す。
この映画館では主演のセス・ローゲンが舞台あいさつに立ち、「来てくれてありがとう。みなさんがいなかったら公開されなかったかもしれない」と語った。
内容については、笑えた、過激すぎるとさまざまで、「安っぽい内容だったけど、結局エンターテインメントだからね」という声もあった。北朝鮮の外交当局者は「国家の主権と指導者の尊厳に対する許されない愚弄」と反発している。
サイバー攻撃はこれにて撃ち止め
誰がサイバー攻撃をしかけたかはまだわからないが、北朝鮮の事軍事情に詳しい黒井文太郎氏は「北朝鮮はこの映画の存在を国民に知られたくないから、騒ぎの沈静化を図るため、今後はサイバー攻撃はないだろう」と分析する。
キャスターの齋藤孝「たしかに、これ以上サイバー攻撃があると世界中で関心が高まりますからね。権力者をパロディ化するというのは表現の自由の象徴なんですね。かつてブッシュ大統領がいろいろ映画の題材になって、『ブッシュ』という映画もありましたよねえ。あれも勝手なパロディ映画ですが、総いうことも許されるというのが表現の自由の証なんです」
井上貴博アナ「この騒ぎは北朝鮮という国のあり方を浮き彫りするとともに、サイバー攻撃がいかにはびこっているかを象徴したできごとだったのかもしれません」