東京・荒川の河川敷で行われる予定だったマラソン大会が突如中止となった。知らずに集まった参加者が怒り心頭に発し、主催者に「詐欺だ!」と詰め寄る一幕があった。マラソンブームにつけ込み、ひと儲け企む意図だったのか。
ネットで募集して500万円かき集め
このマラソン大会は21日(2014年12月)に開催予定で江戸川区の平井大橋から足立区の江北大橋までのコースを走る「東京・荒川マラソン」だ。参加ランナーはインターネットサイトの「RUNNET」に登録して事前に参加費用を払う仕組みで、1500人が申し込んでいたという。参加費用はフルマラソン4000円、ハーフ3000円、10キロ2500円、5キロ2000円で、計500万円が集まった。
フルマラソンは午前9時スタートとあって、中止を知らされていなかった参加者が午前7時ごろから続々と集まり始めた。なかには石川県や兵庫県から来た熱心な男性ランナーもいたが、寒風のなか、何の準備もない会場に茫然と立ちすくむしかない状態だった。
主催者は東京・豊島区に事務所があるというNPO団体で、中止になった経緯からしておかしい。発端は不審に思った参加者が19日に江戸川区役所の掛けた電話からで、区役所が会場を管理する公園管理者に確認してところ、使用申請書が出ていなかった。
午前8時すぎにようやく主催者側の男性がひとりでやってきて、19日に中止になった経緯と「ホームページ上で中止を知らせたほか、参加者にはメールで中止を送信したがエラーで届かなかった」などと釈明を始めた。申請をしたという担当者は居所がつかめなくなったという。納得できない参加者から「これって詐欺でしょ!」の怒声が飛び交った。
給水ボトルもゼッケンもトロフィーも用意なし
そもそも開催する意思があったのかどうか。主催者の男性を問い詰めると、こんな呆れた答えが返ってきた。「とりあえずマラソン大会を1度開いてみて、どういうふうにできるのか体験してみたかった」
ゼッケンや水は何人分用意し、どこにあるのか問うと、男性は「1500人分用意し、水は第三者の家にあるが中には入れない」、トロフィーはどこにあるのか聞くと「家にあります。家は関西ですので...」とあいまいな答えに終始した。
マラソン大会を何度も開催した実績を持つイベント会社に聞くと、参加者1500人レベルの大会では、半年前に申請手続きを完了してからエントリーを開始する。ゼッケンも1週間前にはすべての参加者に届く形にしているという。しかも、この規模では最低でも看護師を常駐させるのが普通だが、荒川マラソンは「救護活動は約束できなかった」という無責任さ。
司会の羽鳥慎一「万一事故でもあったら対処のしようがない。中止になってよかったかもしれないですね」
キャスターの赤江珠緒「救護体制が疑問という大会は結構あります。同じマラソン大会でも内容が全然違うようです」
とくに、国が認めている非営利のNPO法人と紛らわしいNPO団体は似て非なるもので、ビジネス目的でやっているところが多いので要注意だ。今回、参加費用は全額返金するというが、返金されなければ詐欺事件に発展する可能性もある。