総選挙は自民・公明党が3分の2を超える圧勝に終わった。なぜ解散・選挙なのかがさだかでないまま、投票率は過去最低の52.32%(日本テレビ推計)で、すべてが安倍首相の思惑通りに運んだ。当面はアベノミクスの推進をいいながら、いずれは憲法改正に動くことはまちがいない。
小泉進次郎「もうできないとはいえない。笑ってるわけにはいかない」
いわば不意をついた解散で、野党も対立軸を明確にできないままの短期決戦を強いられ、有権者も受け皿をみつけられない状態が結果にストレートに出た。自民党は3議席減の290(無所属1を追加公認し291)だったが、公明党が4議席増の35となり、合計326で与党は3分の2を確保した。
民主は11議席増のの73としたが、海江田万里代表が東京1区で自民党の山田美樹氏に敗れ議席を失った。菅直人・元首相も小選挙区で敗れ、かろうじて比例で当選したが、まさに最後の475人目だった。
維新の党は1議席減らして41。地元の大阪でも小選挙区では5勝9敗で、橋下徹・共同代表は「ボクへの不信任です」と責任を認めたが、「原因はわかりません」
共産は13議席増で21議席と大きく伸びた。比例で20議席というのは、行き場のない浮動票の受け皿となったことは明らかだろう。「反安倍」を鮮明にしたのがプラスと見られる。
少数野党はなべて苦戦を強いられ、次世代、生活、社民が各2議席だった。民主、維新でも比例で救われる例が続出した。解党したみんなの党は元代表の渡辺喜美氏が無所属の立候補で落選した。
こうした流れとまったく逆に、沖縄の4つの選挙区では自民党候補者が全滅した。4人とも比例で当選となったが、先の知事選といい、県民の目は安倍政権にきびしく、米軍普天間飛行場の移転をめぐる環境はきついものになりそうだ。
この結果を、自民の小泉進次郎は「熱狂なき圧勝」といい、「もうできないとはいえない。責任感、緊張感で笑ってるわけにはいかない」と語った。
「アベノミクス評価しないが、投票先がない」
キャスターのテリー伊藤は「安倍マジックの中の選挙だったね」
司会の加藤浩次「これは予想通りといっていいんですかね」
日テレ政治部の青山和弘解説委員は「安倍さんの解散戦略がドンピシャだった」という。焦点のアベノミクスについて、出口調査では有権者の評価は賛否半々だったが、「評価しない」と答えた人たちには投票先がなかった。「野党がばらけていて選択肢がなかった」という。
投票率が低かったことも自公に有利だった。前回に比べて7ポイントも減っており、棄権が実に700万人も増えた計算になる。この半数でも動けば、勢力地図はがらりと変わっただろうが、テリーは「国民は今回の選挙をよしとしなかったというのがある」という。
青山「争点も明確でない。盛り上がりも欠いた中で、固定層をもつ自民・公明が強みを発揮した」
それがまさに安倍のねらいだった。アベノミクスの評価を争点に装いながら、本命はあらぬ方にある。あの顔でやることはかなり入念であくどい。 そういえば、佐藤栄作元首相にかなり似てきたように見えるのは気のせいか。