見終わって気づく事実に愕然
筆者が感嘆したのは、性器を失った息子が見出したマスターベーションの方法の描写だ。ネタばれになってしまうので細部には触れないが、「盲目だが不自由じゃない。盲目でいいんだ、魂が見えるから」というレイ・チャールズの名言を想起させるこのシーンは、失ったこからこそ得られる想像力―不自由の中にある自由を見事に捉えており、この映画のテーマを探るうえで極めて重要なシーンだろう。また、この難解なシーンに挑んだ15歳の息子を演じたソ・ヨンジュ(彼も実際の15歳)という役者に拍手を送りたい。
トンデモナイ驚きも隠されている。見終わった後に唖然とするような事実を知らされるのだ。男と女、痛みと快感、現実と虚構、そのどれもが表裏一体となって押し寄せてくるテーマを、物理的に知らせる「仕掛け」にあなたも気付くだろう。いや、見終わっていても気付かない方もいるかもしれない。それほど巧妙な仕掛けとなっている。チラシをよく見て頂きたい。もうひとつヒントを言うと、女は恐いということだ。
丸輪 太郎
おススメ度☆☆☆☆