ノンフィクション「殉愛」裁判―予想される百田尚樹側に厳しい判決
『フライデー』にやしきたかじんの未亡人・さくらさんの「告白手記」とたかじんの「遺言書」がご丁寧に袋とじになって載っている。売りは丸ごとさくらさん側のいい分と、遺言書にある「全ての現金は・家鋪さくらに相続させる。遺言者は、子である家鋪(旧姓)(実名)には、遺言者の財産を相続させない」と書かれてある部分であろう。
週刊文春は百田尚樹の弁明。『週刊新潮』はさくら寄りの記事の作り方。フライデーは100%さくら側。娘のいい分をそのまま載せているのは『週刊朝日』だけ。これを見るとメディアに対する百田の「圧力」が強いことがよくわかる。
だが、たかじんの実娘が訴えているのは百田の「殉愛」に書かれた自分に対する記述が「プライバシー侵害と名誉毀損に当たる」というところである。著者は、2002年に最高裁判所が柳美里著の「石に泳ぐ魚」(新潮社)について、モデルとされた原告の主張どおり「この小説はモデルの女性のプライバシーを侵害している」と認定し出版差止めと慰謝料の支払いを命じたことを知らないわけではあるまい。この場合、モデルの女性には事前に書くことを伝えてあったはずだ。
ましてやこの本はノンフィクションである。にもかかわらず、実娘側の取材や了解を取っていないのだから、個人的には、この裁判は著者側に厳しいものになると思う。そこのところを出版社系週刊誌はどう考えているのだろうか。見解を聞かせてほしいものだ。