立花隆「スループットでどういう情報を拾い上げ自分自身の脳を作り上げるか」
ネットが及ぼす思考力への影響や読書の意義について、ジャーナリストの立花隆氏はこう話した。「この番組のコンテクスト(文脈)だと、スマホを否定的に捉えていますよね。だけど、スマホの向こうに何があるかが大事なんです。スマホの向こうに、人類の持っている知識全体があるんです。引き出し方次第ということで、スマホだからダメという議論は成り立たないと思います。
たとえば、世界中の文献を集めたアレクサンドリア図書館っていうのが古代エジプトにありましたよ。いまはネットを通じてアレクサンドリア図書館が自分なりに作れる。そういう時代なんです。
これまでは、インプット、アウトプットの2つでしか物を考えてこなかったのが、いまはスループットという言葉があって、情報が頭を通過するスループットがものすごい勢いで増えているのが現代の特徴です。そのなかで人がどういう情報を拾い上げ、自分自身の脳を作り上げていくか。そこが大事だという感じになっているのではないでしょうか」
国谷裕子「では、ご自身では情報収集についてネットだけで足りると思われているのですか」
立花「そうは思いません。ネットだけではどうしても掘り方が浅くなります。深い情報を得たいと思ったら、本なりその他もろもろの手段にいきますね。それを通して、より深い情報を得るというステージが必ず必要です」
ネットの先にある情報を丸呑みし、コピー、貼りつけするだけでは思考力は養われない。ネットの先にある幅広い情報を活用し、本などでさらに奥へと進む。ネットはそのための手段として使うべきなのだろう。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年12月10日放送「広がる『読書ゼロ』~日本人に何が~」)