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たかじん娘「殉愛」告訴の言い分!ノンフィクションと言いながら彼女に取材しなかった百田尚樹

   先週、林真理子が週刊文春で、やしきたかじんの新妻・さくらさんが献身的に看護したことを取り上げたノンフィクション「殉愛」についての「騒動」を、どこの週刊誌も報じないのはおかしいと書いていると伝えた。林の『剣幕』に驚いたのであろう、週刊文春は著者である百田尚樹に弁明させ、『週刊新潮』は5ページも割いて「遺族と関係者の泥沼の真相」と題した特集を組んでいる。

   『週刊朝日』はたかじんの最初の妻との間にできた唯一の娘H子さん(41)のインタビューを掲載している。

   重婚、たかじんのメモの筆跡が違うのではないか、カネ目当ての結婚ではないのかという「疑惑」は一掃されたのか。娘と新妻のいい分はどちらが正しいのか。読み比べてみた。

   百田は「林真理子さんの疑問にお答えします」で、重婚の事実はないといっている。さくらはイタリア人と結婚していたが12年の3月に離婚し、たかじんと入籍したのは13年10月。これは戸籍を見て確認しているという。ちなみに、たかじんが亡くなったのは入籍からわずか4か月足らずである。

   他にも彼女には離婚歴があるが、彼女の過去を問題にして「悪女」にしようという世間の悪意は理解できない。たかじんの最後の2年間を献身的に支えたのは紛れもない事実だと突っぱねる。

   だが、後述するように、遺産を巡って不可解なことが起きているため、<「もちろん人の心の奥底に何が潜んでいるか、見えないところはあるでしょう。しかし私は、自分の目に曇りがあったとはとても思えないのです」>と予防線を張った結び方をしている。

   週刊新潮では、メモの疑惑は「あるサイト」(どこかは書いていない)の求めに応じた日本筆跡鑑定協会指定鑑定人の藤田晃一が鑑定した結果、「あのメモはたかじん氏の真筆」だという。

   問題を複雑にしているのは、百田が本でも書いている、たかじんとさくらさん対H子さんのこじれた関係である。さくらさん側は、たかじんは娘を嫌っており、彼が食道がんだとマスコミで報じられたとき、H子さんから「なんや食道ガンかいな。自業自得やな」というメールが来て、たかじんが激怒したことや、見舞いに1度も来なかったことをあげて、娘の不実をいい募っている。

   そのH子さんは週刊朝日で、離れて暮らしてはいたがクリスマスにはプレゼントを買ってもらったり、大人になってからも年に1、2回は会っていて、決して仲の悪い親子ではなかったと話している。

   また、たかじんの偲ぶ会でさくらさんが挨拶した際、大きな声で野次を飛ばしていたと本で書かれたが、そんな声は出していないといい、H子さんの弁護団は会の進行を記録した録音を確認したが、野次は聞き取れなかったといっている。

   両者のいい分はまったく違っているが、ここで私が疑問に思うのは、ノンフィクションと銘打っているのに、著者がH子さんに1度も取材をしていないことである。看護の話だから数メートル四方だけのことさえ分かればいいというのかもしれないが、たかじんは女性関係も含めて極めて複雑な人生を抱え、死と向き合っていたと推測する。

   そうしたノンフィクションを書く場合、最終的には取り上げないかもしれないが、唯一の娘の話は聞いておくのが常道である。百田の得意な「ノンフィクション・ノベル」という不思議なジャンルのものを書くなら、そうしたことは必要ないのかもしれないが。

   最大の焦点はたかじんの遺産を巡る問題である。遺産は総額で8億円ともいわれているそうである。遺言には「6億円程度を大阪市などに寄付し、娘H子には相続させない」と書かれているという。

   その他にも、金庫に2億8000万円のおカネがあったというが、そのうち1億8000万円はさくらさんがたかじんと「業務契約を交わしていて、毎月一定額の支払いを受ける約束になっていた」から、彼女のものだと主張している。

   夫婦なのに業務委託契約を結んでいた? 仕事内容は「セクレタリー業務」となっていると週刊新潮は書いている。さくらさんは元マネージャーに対して使途不明金の返還請求訴訟を起こすことも考えているそうだ。

   失礼だが、こうしたことが事実なら、このさくらさんという人物、カネに恬淡とした女性ではないようである。週刊朝日は<Hさんに取材せずに作品を世に出したことに問題はなかったのか。幻冬舎と百田氏に見解を尋ねたが、「現在係争中であり一切の回答を差し控えさせていただきます」>と書いている。

   わたしは東京に住んでいるから、「やしきたかじん」という人がどれほどの人気があるのか分からない。本音でズバズバものをいうキャラクターでカリスマだったらしいが、もし生きていたらこの騒動に対して何というのであろうか。

   ここまで騒動が広がったのも、作家がものを書くときに欠いてはならない関係者への「配慮」を怠ったことからである。H子さん側の弁護士は私も知っている講談社の顧問もやっている人間である。講談社発行の週刊現代、フライデーはこの問題をどう扱うのか。またはダンマリを決め込むのか。次号を楽しみにしたい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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