「噛んで噛んで...ああ、出てきた肉の甘み」
さらに、神津牧場にたどり着くと、ここにも発祥というものがありました。牧場長の須山哲男さんによると、「日本で一番古い牧場なんです。明治20年に様式牧場として始まりました。ジャージー牛を飼って乳製品を作るための酪農ですね」
西洋人に体格的に劣っていた日本人の体力作りのために神津邦太郎が開いたものでした。ここで阿藤さんは寝そべっている牛にまたがったり、牧草をかじって「硬てえ」なんて言っています。
須山さん「そりゃそうでしょう。人間が食べるもんじゃないですよ」
阿藤さん「でも、甘いですよ」
須山さん「ホントかなあ。あっ、ホントだ」
阿藤さんの飾らない人柄に、旅先で出会う人がたちまち打ち解けます。観光で訪れた子供たちも牧場の中に入れるガイドツアーがあって、45分500円で牛にまたがったりできるんです。宿泊施設「神津牧場ロッジ」(1泊6200円)の宿泊客は、まさにしぼりたての牛乳の「牛乳風呂」に入ることができます。お肌ツルツルになるんでしょうねえ。お泊りして入りたいです。
さすがにお腹がすいて、鉄板焼きコーナーでお食事です。「できたてのバターとジャージー牛の肉をいただきます」。肉はここで2年間育てられた雄牛の肉です。サーロイン定食2000円。鮮やかな赤身のお肉が出てきました。
阿藤さん「うん、塩・コショウで甘みが出てきて...、噛まなきゃいけない肉、久々ですわ」
それって、かなり固いってこと?
須山さん「あまり脂が入り過ぎると、とろけますけどね、やっぱり肉の味としては赤身のほうが全然濃厚ですよ」
阿藤さん「あっ、出てきた!甘みが出てきた。肉の...。噛んで噛んで...。これが肉というものですね」
大さわぎしながら阿藤さんの群馬の旅は終りました。これからは上州名物からっ風が吹く季節です。暖かくしてお出かけ下さいね。
涼