22日(2014年11月)に長野県北部を襲った最大震度6弱の地震で、震源に近くで被害の大きかった白馬村では、いたるところで道路のアスファルトが壊れ、一部では1メートル近くのズレが露出していた。神城断層が動いた跡だ。自然のエネルギーの凄まじさを見せていた。
縦揺れから横揺れの直下型「逃げる時間まったくなかった」
リポーターの阿部悦子が道路の亀裂に斜めに巻き尺をあてて、「1メートル25センチ」と伝えた。あまり科学的とはいえない計測だが、道路が大きく段差になっていることは良くわかる。むろん車は通れない。別のところでは、コンクリートが大きく盛り上がって、下で断層が動いたことを示していた。
地震は縦揺れから横揺れになって家が倒れた。下敷きになりながら助かった被災者は「逃げる時間はまったくなかった」と話す。震源は地下5キロとも10キロともいう浅い直下型だから逃れようがない。
長野県は地震の名称を「神城断層地震」とした。県全域で負傷44人(うち重傷8人)、家屋全壊47棟、半壊94棟。死者がなかったのが不思議なくらいだった。政府の地震調査委員会は、糸魚川―静岡構造線活断層の一部、神城断層が動いた可能性が高いという。断層から5キロの白馬村神城の堀之内地区はとくに被害が大きかった。
山際で揺れ増幅する「タライ現象」
東京電機大の安田進教授の現地調査に阿部が同行した。墓地の墓石はすべて倒れ、基礎の部分まで崩れていた。墓石の倒壊は震度の目安になるもので、全壊というのは「局地的に震度6強か7だった可能性がある」という。白馬村は震度5強とされているが、あくまで震度計があった場所というわけだ。
堀之内地区はほぼ平坦なのに路面のアスファルトの地割れがいたるところに見られた。これについて安田教授は「地盤が緩く、全体がズルズルとずれた。上に乗ってる家も引っ張られ、倒れやすくなる」という。また、山の際に被害が大きかったのは、「タライ現象」といって、地震波がタ ライの水のように山の斜面にぶつかって揺れを増幅したと見る。
現地はきょう雨模様だが、余震がこれまでに86回、震度5弱が1回、震度4が2回。あすまでに震度5以上が起る確率は10%という。
司会の小倉智昭「知らずに活断層の上に住んでる人も多いと思いますねえ」
竹田圭吾(「ニューズウィーク日本版」編集長)「活断層は比較的わかりやすいので、一部では断層上の建築規制を設けたりしています。情報提供を受けた上で判断するしかないですね」
30年以内にM8程度の地震が起る可能性が10%以上の活断層は、全国で8か所あるという。今回の「糸魚川―静岡構造線」は14%だった。これとは別に、地盤が弱くて地震が起きやすい「ひずみ集中帯」というのが阪神から新潟にかけて広がっている。長野はその中にも含まれていて、11年3月の長野県北部地震や、その前の新潟中越地震、中越沖地震もこれに当たるという。
小倉「活断層の上って、線を引けないものかね」
梅津弥英子アナ「不動産の価値に影響するとか...」
いや、活断層はわかってます。でも、まさにその理由で公表しない。日本人はみな地震の上に住んでいる。