安倍首相はきのう18日(2014年11月)、『予定通り』に消費増税10%の先送りと衆院解散を表明した。想定外だったのは、高倉健さんの訃報。「とくダネ!」はこれに大部分の時間を割いたから、解散の話はまるで短信あつかいだった。
安倍首相は7-9月期のGDP速報値がマイナスだったことなどを理由に、「消費税10%への引き上げを法定通り来年10月に行わず、18か月延期すべきとの結論に至った。この重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだと決心し、21日に衆議院を解散する」と述べた。これは「アベノミクスを達成するため」で、2017年4月の増税は必ず行い、再延期はしないと断言した。それまでは首相の座にいるという明確な意思表明だ。同時に、アベノミクスはまだ不十分だと認めたことになる。
解散・総選挙の本音「国民から白紙委任取り付け長期政権」
司会の小倉智昭「健さん死去でニュースが小さくなっていまいました」
山中章子アナは「本来ならトップニュースですけれども」と言ったが、ダルビッシュの交際宣言、帰国した錦織圭の会見のあとというのは、ある意味では今回の解散を見る目を表してもいた。改造内閣の閣僚辞任でケチのついた政局を納めて、長期政権への仕切り直しを図る意図が明らかだからだ。
野党からは「安倍政権下で非正規労働者が増え、正規労働者が減った。経済政策の間違い」(民主党・海江田万里代表)、「誰のための、何のための解散なのか」(維新の党・江田憲司共同代表)と批判が出るのは当然だが、小党分立だから迫力はない。
「高支持率、一強多弱政治」この先は下り坂...今やるしかない解散
野党の足元を見たように安倍首相は、選挙の勝敗ラインまで明らかにした。「自民・公明で過半数」がそれで、「過半数が得られなければ、アベノミクスが否定されたことになり、退陣する」と語る。今の野党の状況なら、過半数確保は楽々という思いなのだろう。しかし、それは与党側が数十議席も失うということだぞ。選挙後、それでも勝ったということになるかどうか...。
きのうの「とくダネ!」で、田﨑史郎(時事通信解説委員)は「解散するとなると、今しかない」と解説していた。はたして国民がこれをどう受け止めるか。案外に面白い展開も考えられるが、それも受け皿になる野党次第だ。有権者のイライラがつのるようだと、安倍首相の思うつぼだ。