日本のマチュピチュといわれる兵庫県の竹田城跡で、地元の朝来市と県がトラブルになっている。市が進めた登山道の拡張工事が申請されていなかったことがわかりストップしたままなのだ。城跡へ簡単に上れる階段ができれば、観光客が増えて地元にカネが落ちるという皮算用ばかりをはじいて、史跡保護は二の次になってしまっていた。
幻想的な城の周囲が重機の削り痕やキャタピラー痕
竹田城跡は標高353メートルの山頂に築かれ、雲海が広がると雲の上に浮かんでいるように見えることから、天空の城と呼ばれて人気だ。1943年に国史跡に指定され、06年には日本百名城の一つに選ばれた。年間50万人の観光客が訪れる。
ところが、竹田駅からの「登山道」には立入禁止の札がはられている。現在の登山ルートに代わって、朝来市が来春からの使用をめざして整備している道で、すでに80%まで完成しているがストップしてしまった。史跡の工事は、市教育委員会から県教育委員会を経由して文部科学省に申請しなければならないが、この申請を朝来市はしていなかったのだ。
大竹真リポーターが現場に行ってみると、重機のショベルが削り取った跡が刻まれ、タイヤやキャタピラーの痕跡もあった。新しい階段がほぼ整備されており、完成すれば駅まで15分とこれまで半分で降りられるはずだった。
城跡管理を市に移管して「観光収入もっと増やせ」
竹田城の史跡管理はもともと教育委員会がやっていたのだが、観光振興を担当する市の竹田城跡課に管理が移されていた。「市のレベルでできるという判断に甘さがあった」と市幹部も認める。市は県や国と協議中だ。
司会の加藤浩次「でも、もう(工事を)やっちゃっているわけですね」
ロバート・キャンベル(東大教授)「観光資源重視のあまり、(史跡保護を)最初から尊重していなかったのではないですかね」
キャスターのテリー伊藤「天空の城はなかなか登れないから伝説にもなるんです。行けないからカリスマ性も出る。観光重視はどうかと思いますね」
加藤「反面で(工事は)安全面の確保もあるかもしれない」
登山階段ができて観光客が押し寄せるようになったら、竹田城跡の幻想的な雰囲気が壊れて一気に観光人気は低下する。目の前のカネに飛びついて大失敗!地方の自治体が観光資源の本当の魅力に気づかず、よくやる愚策だ。