きのう17日(2014年11月)に発表された7―9月の実質GDP速報値はマイナス1.6%(前期比)と出て、「どんなに悪くてもプラス」と見ていた専門家はみなこけた。消費税を8%に引き上げた前期よりは改善したものの、2期連続のマイナスである。アベノミクスは失敗だったのか。解散・総選挙で、どうやら国民一人一人が判断する局面になった。
永田町も経済専門家も腰抜かした「GDP大幅マイナス」
GDP速報値を受けて、17日の日経平均株価の終値は1万6973.80円と517.03円の大幅な下げとなった。株価で支持率をあげてきたといってもいい安倍内閣としてはショックだろう。自民党の谷垣禎一幹事長は「若干厳しいが、政権発足時にくらべると相当よくなっている面もある」といい、公明党の山口那津男代表は「政権交代以来、 株価、失業率、有効求人倍率、企業の収益、賃金などいい方向に変わっている」とアベノミクスの成果を必死に強調する
野党は「想像を超える悪い数字。アベノミクスの限界」(民主党・枝野幸男幹事長)、「選挙なんかやってる場合じゃない」(維新の党・小沢鋭仁国会議員団幹事長)と攻める。海外メディアは「景気後退局面に入った」と報じた。
要するに、名目賃金は上がったが、物価の上昇がそれを上回って、消費が伸びなかった。4月の消費税アップとその前の駆け込み購入が尾を引いている。 いってみれば、円安がもたらしたマイナス(輸入品の値上がり)がプラス(輸出企業の収支改善→賃上げ)を上回った。消費税がアベノミクスを食っちゃったということだ。
来年になったら解散もできなくなる...
街の声を聞いても、「物価だけ上がっている」「(住宅)安いものを求める人が多い」「温泉旅行もいけない」「モノが売れない」「改装延期」と景気のいい話はない。
きのうオーストラリアから帰国した安倍首相は、公明党の会合で「残念ながらいい数字ではありません。デフレから脱却するチャンスをつかんだんです。来年の消費税引き上げを冷静に分析したい」と話した。消費税引き上げの先送りと衆院解散を今晩表明する。
その解散の意味がよくわからない。そこで街で名前をつけてもらった。出たのは「安倍勝手解散」「やってみたら解散」「なんでやるの?解散」「なぜ?」...と、理由がわからないというのが多かった。
田﨑史郎(時事通信解説委員)は「不意打ち解散」と名付けた。唐突感があるのは「来年になると解散ができないという事情からだ」という。司会の小倉智昭はモノの順序が違うと「あべこべ解散」という。
安田洋祐(経済学者)「エコノミストも見誤った。それだけ難しいが、選挙になったら有権者はアベノミクスへの評価を自分で判断しないといけないですね」
指標はいいもの悪いものいろいろだ。これを自分の生活とすりあわせて判断する――当たり前のことをいわないといけないんだから、困ったものだ。