安倍首相が10%に引き上げる予定だった消費増税を平成29年4月まで先送りし、早ければ19日(2014年11月)にも衆議院を解散する。年率1.6%減という実質経済成長率の想定外の低さを受け、アベノミクスの成否が最大の争点になりそうだ。衆院選は12月2日公示、14日投開票の日程で行われる。
効かなかった「日銀カンフル注射・黒田バズーカ」
内閣府が発表した7~9月期のGDP(国内総生産)の実質経済成長率は、年率換算で1.6%減、4~6月期の7.3%に続いて2四半期連続のマイナス成長だった。市場では想定外の落ち込みと受け取られ、株価が急落したが、果たして想定外だったのか。
4月に消費税率を8%へ引き上げる際も、専門家から「引き上げ時期、引き上げ幅をもっと段階的にすべきだ」という指摘があった。日銀の異例ともいえる金融緩和策は一時的なカンフル剤で、経済成長を牽引する産業がない状態が変わらないなかで、平成29年4月までにアベノミクスの成果が上がり、10%の増税環境が整うのかどうか疑問視する声は根強い。
安倍首相の強弁「デフレから脱却できるチャンスをつかんだのです」
安倍首相は公明党の結党50周年のパーティーでこう述べた。「(GDP速報値は)残念ながらいい数字ではありませんが、いま私たちはあの長く続いたデフレから脱却できるチャンスをつかんだのです。このチャンスを手放すわけにはいかない」
では、消費増税の先送りの間にデフレ脱却をどう実現させるのか。この課題が今回の衆院選の争点となりそうだ。キャスターの齋藤孝は「解散がなぜ行われるのか、国民にはもう一つはっきりしないですよね。そこに大義はあるのか、争点は何なのか。きょう行われる首相の会見はここがポイントになります。安倍首相自身の口からはっきりききたいです」と注文を付けた。