海上保安庁たった5隻で取り締まり!罰金引き上げぐらいでなくなるか?
では、密漁サンゴはいったいどこで売るのか。台湾に持ち込み、加工業者に売るのだという。加工業者は台湾産と偽って中国の富裕層に向け売りさばく。台湾は古くから赤サンゴの加工技術では世界的に評価されてきた。指輪やネックレスなどに加工されると値がハネ上がる。高額品は中国の富裕層が投機の対象として購入しているという。
国谷裕子キャスター「台湾で加工され中国に輸出されるこの闇のルートはどういうものなのでしょうか」
中国事情に詳しい拓殖大の冨坂聡教授はこう解説する。「ここが最も重要なポイントだと思います。これは、中国と台湾の経済格差が生まれた80年代に確立された洋上交易と言われるもので、台湾の漁師が自分で漁をするよりも、海上で中国の漁師がとった魚を買う方が儲かるという状況から生まれました。そのうち、魚の中に銃器や薬物、偽タバコ、偽札とかが入ってきて闇ルート化してきました。密漁サンゴをさばくのはお手のものというわけです」
裏の洋上交易の目玉が日本の赤サンゴにとって変わったわけだが、海上保安庁は大挙押しかける密漁船団にたった5隻の巡視船で対応している。密漁船を1隻検挙すると、取り調べのために海上保安部のある横浜まで曳航しなければならない。その間、巡視船が減ることになる。苦肉の策として、密漁船の大きさから燃料は50日分と推定し、燃料が尽きるまで漁をさせないよう追い回す持久戦で対応しているという。
政府は外国漁船の密漁に対する罰金額を引き上げる法改正案を検討しているが、多少引き上げても1回で20億円という一攫千金を前に効果あるのかどうか。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年11月12日放送「追跡『中国サンゴ密漁団』日本の海が狙われる」)