今年4月(2014年)、韓国で起きた「セウォル号」沈没で乗客を見捨てていち早く逃げた船長のイ・ジュンソク被告(69)に、光州地裁は懲役36年を言い渡した。
検察側は乗客が死んでも構わないという未必の故意があったとして殺人罪を適用、死刑を求刑していたが、判決では「船長は乗組員に乗客を避難させるようにという指示を出しており、未必の故意は認められない」として、遺棄致死傷罪で懲役36年となった。
実質的な「無期懲役」
事故で娘のスンヒさん(17歳)が犠牲になったチョン・ミンジュさんは納得できないと怒る。「娘に会いたくて、いまでも毎日泣いています。死刑判決が当然と思っていました。それが懲役36年とは軽すぎます」
阿部祐二リポーター「朴槿恵大統領も事故後に、船長が先に逃げるとは殺人に等しい行為だとコメントを出しています。韓国に人たちの多くもそう考えていたようです」
有罪とされた遺棄致死傷罪はどの程度の重罰なのか。韓国の法律に詳しい高初輔弁護士は「韓国の遺棄致死傷罪は最高で懲役30年です。これに船員法違反などが加わり、懲役36年になったと考えられます」と解説した。
コメンテーターの宮崎哲弥(評論家)「殺人罪で死刑にならずとも、無期懲役を望む声も多かったようですね。船長は69歳。これから36年間の懲役刑になると、事実上は終身刑になるわけです」
キャスターテリー伊藤「刑が重い軽いの問題もあるが、裁判では船の整備・安全を担う運航会社の責任には焦点が当てられませんでした。すべての責任を船長に被せている。これでいいのでしょうか」
沈没事故では今も9人の乗客が行方不明だが、事故対策本部は捜索を打ち切ると発表した。