冬の到来とともにノロウイルス感染症が広がっている。この3週間で昨年(2013年)の同時期と比べて2倍の患者が確認されているという。ノロウイルスは小型球形ウイルスで、潜伏期間は24~48時間と短く、下痢やおう吐、腹痛、発熱といった症状に襲われる。
怖い「不顕性感染」症状なく知らぬ間にウイルスまき散らし
感染制御学が専門の東邦大学・小林寅喆教授が解説した。「ノロウイルスが厄介なのは、変質しやすく30種類もの違うタイプがあり、免疫が対応しきれないことです。場所や時期によってもタイプが異なり、ワクチン製造の妨げになっていて、治療薬もありません」
さらに、人によっては症状に出ない不顕性感染のウイルスのこともあり、知らずに排泄物などを通じて他人に感染させてしまうケースが少なくない。今年1月に静岡・浜松市で起きたような、知らぬ間に感染が広がって大きな食中毒事件に発展してしまうのだ。
では、どんな対処法があるのか。ノロウイルスは汚染された川から海に流れ、二枚貝などの生物に蓄積される。食品の中心部が十分加熱されないまま食べると体内に入ってくる。
小林教授は「80~90度の高熱で1分間以上加熱しないと死滅しません。アルコール消毒は効き目がなく、塩素系の消毒薬でないとだめです」という。
ノロウイルスは年間3万件近い患者例が確認されており、そのほとんどは11月から翌年3月までの冬場に集中している。
文
モンブラン