長崎県諫早市の創成館高校(生徒770人、教員51人)が注目されている。生徒の非行や経営の行き詰まりといった廃校の危機から立ち直り、「入りたい高校」へと変身したからだ。
先生も生徒も試される「本気度」
10年前は万引き、喫煙、不法侵入、恐喝事件は当たり前、授業もできない状態だった。経営も最先端の学校をめざした借金がかさんで、倒産の危機にあった。それに立ち向かったのが奥田修史校長(43)だ。父の後を継いで33歳で就任すると、まず教員の意識改革に取り組んだ。生徒を見下したような教員は退職させ、全教員の給料を40%カットした。
いま教員は毎朝、教員は生徒のためにあるという「心得10カ条」を校長室で唱和する。「生徒の成長に命をかける」「常に常に夢を語り、夢を持たせる」と声をそろえる。
生徒にはあいさつを本気でやることから始めた。月曜の朝礼では約20分間の大半を「本気のジャンケン」に費やす。校長も生徒も唯一のルール「本気でやること」に全力を集中する。最後は「あいさつ練習」で終わる。1年生の女子生徒は「ちょっときつい月曜も、本気でジャンケンすると本当に楽しい」と話す。
生徒のあいさつに融資打ち切りの話をしに来た銀行マンがびっくりし、学校が変わってきたことを理解して融資続行が決まった。奥田校長は「君たちのあいさつのおかげで救ってもらった」と生徒に話した。
文
あっちゃん| 似顔絵 池田マコト