リベリアから羽田空港についたカナダ国籍の男性(45)がエボラ出血熱の感染が疑われ、「陰性」と判明して事なきを得たが、水際作戦では日本国内への侵入は防ぎきれないという専門家は多い。検査機関も全国に1か所しかなく、国の防疫対策はかなり遅れている。
乗客の自己申告なければすり抜け
今回、男性が検査を受けることになったのは、入国の際にリベリアにいたことを申告し、検温したところ37.8度の熱があったためだ。井上貴博アナは「自己申告しないケースでは発見が難しいのではないでしょうかねえ」と不安そうだ。東北大学で感染制御の検査診断学を研究している中島一敏医師はこう説明する。
「流行している国から日本に入る場合、直行便がないのでいくつかの国を経由してくるわけで、どうしても申告が大事になります」
最後の出発地がヨーロッパやアメリカ、アジアになるので、自己申告がないとすり抜けられてしまう可能性が高いというわけだ。また、国立感染症研究所(東京・武蔵村山市)で「陰性」と判明するまで14時間かかっている。
羽田空港でも結果判明まで14時間
キャスターの齋藤孝「14時間という時間をどう考えたらいいんでしょうかね」中島医師「隔離しながら男性を搬送して病院が最初の診察をし、血液などの検体を採取して武蔵村山市まで送るといういくつかのステップがあります。今回はよくこの時間でできたなという感想です」司会の夏目三久「搬送先の病院と血液を検査した場所が別々ですが、同じところですることはできないんですか」
中島医師「検体の検査は全国で1か所、武蔵村山市の国立感染症研究所でしかできないんです。ウイルスの特徴的な遺伝子を増やして確認するという極めて精度の高い検査です。武蔵村山市まで運ぶ時間がどうしてもプラスアルファになってしまう」
地方空港で発症の疑いが出た場合は専用の病院が県内にないところもあるという。さらに、検体は東京に運んでとなると、その間に2次、3次感染が広がる心配は強い。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト