日本でもついにエボラ出血熱の患者発生かと騒然となった27日夜(2014年10月)だったが、幸い「陰性」であることがわかった。西アフリカのリベリアで取材を続け、ベルギー、イギリス経由で羽田空港に着いた40代の日系カナダ人ジャーナリストが滞在歴を申告し、空港内の検疫所で検温したところ37・8度の熱があったため隔離された。
男性はすぐに東京・新宿の国立国際医療センターに搬送され、隔離病棟に入院。採血された検体は武蔵村山市の国立感染症研究所に運ばれ感染の有無が調べられた。
渡航履歴はあくまで自己申告
塩崎恭久厚生労働相は「隔離病棟に念のために入ってもらった。冷静に受け止めてもらいたい」「万全の備えを(するように)準備している。医療体制も準備している」と語った。
日本ではすべての空港にはサーモカメラが設置され、入国者全員の体温をチェックしている。リベリア、ギニア、シエラレオネ、コンゴ民主共和国などエボラ出血熱流行地域に行ったかどうかの確認を求め、発熱などの症状があれば全国45の医療機関(92床)に隔離し、検体をとって調べる。
症状がない人は1日2回の体温検査をエボラの最大潜伏期間とされる21日間続けてもらい、異常があったら保健所に連絡して指示を待つ。「最寄りの医療機関には行かないように」と厚労省は呼びかけている。移動や病院で感染が拡大する恐れがあるからだ。
飛行機内でウイルス接触の可能性
万が一、陽性反応が出た人と同じ飛行機にいた乗客はどうすればいいのか。空気感染はしないが、機内のトイレや座席でウイルスに接触する可能性がある。感染症に詳しい高橋央医師は「少なくとも周囲にいた人は、21日間は1日2回の検温をします。人ごみにはいかないようにしてほしい」と話す。隔離の必要はないものの、監視は必要だという。
ロバート・キャンベル(東大教授)「今回は男性が自己申告したが、これからも(乗客がそうする)保証はありません。米国では発症していた人が申告せずに入国していました」
キャスターのテリー伊藤「感染の可能性がある人は家にいてくれというのは甘いんじゃないですか。ホテルみたいなものをキープして、潜伏期間中は入ってもらう必要がありますよ。それぐらいしないと万が一のときに対応できない」