アラビア語だけでなく各国語で呼びかけ
日本エネルギー経済研究所の保坂修司氏は「アルカイダの頃より洗練され、プロフェッショナルになっています。かつてはアラビア語だけだった言語も、 英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、インドネシア語からアルバニア語まであります」と話す。
この宣伝が若者の心の空白に食い込んでいく。「若く、悩みや怒りがある。なんらかの形で役に立つ場を求めている。その彼らに居場所、あるいは死に場所を与えるんです」
オバマ大統領は9月の国連総会で、「イスラム国」のメディア戦略に対抗しなければならないと訴えた。米国務省が作ったビデオは、モスクを爆破したり、同じイスラム教徒を崖から突き落とす残虐な処刑シーンなどを集めて、「考え直せ、近寄るな」とストレートだ。
450人がシリアへ渡ったというドイツも事態は深刻だ。ベルリンのNGOはネットを監視して、それらしい書き込みに反論を打ち込む。「心にすき間のできた若者に、自分で考える力を持たせたい」という。生徒の8割がイスラム教徒というベルリンの学校では、イスラム教徒のカウンセラーによるワークショップで活発な議論を続ける。「生徒の悩みを共有し、白か黒かではなく、多様な価値観をわからせる」とカウンセラーは言う。はたして効果はあがるのか。
日本でもシリアへ渡ろうとした北海道大生がいて愕然とした。他にもいたというではないか。心のすき間どころか、頭にもすき間がありそうな平和ぼけ。背筋が寒くなる。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2014年10月23日放送「『イスラム国』世界に広がる脅威」)