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消費税10%賛成の慶応大教授この暴言「大企業正社員の賃金は上昇。実質賃下げは事実誤認」

   『週刊ポスト』は「『消費税10%にすべき』と唱える政府調査メンバー『有識者』26人の言い分」で、新聞などは触れなくなってしまった「政党同士のごまかし」を追及している。

<臨時国会冒頭の代表質問。消費増税をめぐる安倍晋三・首相と海江田万里・民主党代表の「談合質疑」には耳を疑った。海江田氏はこう質問した。「消費税率引き上げの増収分の2割程度の金額を社会保障の充実に使うことは政府と国民との約束です。来年10月に消費税率を10%に引き上げる場合には、社会保障の充実分として2割相当の予算を必ず確保すると約束してください」
   安倍首相が答えた。
   「税率を10%に引き上げた場合には、2015年度は(増収分の)2割程度の約1兆8000億円を社会保障にあてることになる」
――2人とも、国民を馬鹿にするにもほどがある。
   民主、自民、公明の3党合意で消費税増税法案が成立した日、時の野田佳彦・首相は「増税分はすべて社会保障として国民に還元される」(2012年8月10日の記者会見)と約束した。
   安倍首相も昨年10月1日、8%への引き上げを表明した会見でこう断言した。
   「消費税収は、社会保障にしか使いません」>

   週刊ポストは、国民の社会保障費を勝手に8割も横領し、それを与野党で、もともとそういうことだったととぼけようとしていると憤る。当然である。

<新聞・テレビはその国民への裏切りを一切報じないどころか、再増税の旗を振っている。日本経済新聞は10月5日付朝刊の1面で「10%」への引き上げを促す記事を打った>(週刊ポスト)

   安倍首相は昨年、8%への引き上げを決断する前に「集中点検会合」を開き、日本経団連や全国銀行協会、連合などの団体トップや学者、エコノミストなど60人から意見を聞いた結果、76%にあたる44人が増税に賛成論を唱えた。そうやって有識者という、安倍首相のいいなりの御用学者たちを使って増税に踏み切ったが、結果は急激な円安、実質賃金の低下、輸入品の価格上昇と庶民の生活を苦しくしているのである。

   だが、賛成派の土居丈朗・慶応大学経済学部教授はいっこうに反省せず持論を展開し、実質賃金の低下にはこう反応する。<「それは全労働者平均で見たものに過ぎない。大企業の正社員の実質賃金は上昇傾向に転じており、実質賃金が下げ止まらないことを理由に引き上げに反対したり延期を主張したりすることは、森を見て木を見ない議論で事実誤認である」>

   圧倒的多数の中小企業や非正規雇用の連中の賃金低下など知ったことかである。こういう意見を聞いて腹が立たない奴を、腰抜けというのである。週刊ポストは怒る怒る。<現実には増税分のほとんどは社会保障に使われず公共事業にバラ撒かれているのだから、「世代間格差の是正」など机上の空論だ。まして「木=大企業正社員」が良ければ「森=国民全体」は悪くても良いとは、なかなか思っても言えない『見識』である>

   週刊ポストに挙げられた10%の消費税引き上げ賛成派26人の名前は、いつでも見られるように週刊ポストのネットに上げておいたほうがいい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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