日本の男子フィギュアスケート界を牽引してきた高橋大輔はきのう14日(2014年10月)、地元の岡山で現役引退を表明した。トリノ五輪金メダリスト・荒川静香は「一緒に滑っていて、自分が悲しくなるくらい才能があるひとです。日本人も頑張ればできるのだという希望を見せてくれたことに感謝したいです」といい、ソチ五輪金メダリスト・羽生結弦は「高橋大輔選手に今の男子フィギュアを作っていただいたと思っています。スケーターとしても、先輩としてもいつまでも憧れの存在です」と語る。
美容室と弁当屋さんで働き活動資金捻出
番組ナレーションは「きのうの会見には高橋選手の3人の母が同席しました」と伝える。ええ、3人の母親? 実母・清登さんは「引退会見に立ち会って、嬉しい思いもありますが、少し寂しさもあります」と語った。高橋がスケートを始めたきっかけは、8歳の時に自宅近くにスケートリンクができたことだった。その後、フィギュアスケーターとなった高橋を支えるために、清登さんは美容室と弁当屋さんで働き、選手としての活動資金を捻出した。
8歳から14歳まで倉敷で師事した佐々木美行コーチは「スケートの基礎を楽しく学ばせるため練習には鬼ごっこを導入していました。当時、逃げ足が速い彼は、滑っている途中で突然転ぶことが多かったのですが、それは他の人がしないくらいまでエッジを倒しすぎているためで、妥協をせずにエッジをしっかり深く使っていたという片鱗だったかと思います」と語る。
高橋が中学2年のときから最も長く師事した長光歌子コーチはこんな話をする。「最初にここまで支えてくれた地元や連盟の人にどうやって恩返しをしたらいいのかと聞かれました。頑張って練習してよい成績をおさめることが恩返しじゃないかなと話しました」