アメリカ国内でエボラ出血熱患者の治療に当たった医療スタッフの感染が初めて確認され、新たな広がりが心配されている。WHO(世界保健機関)によると、8日現在(2014年10月)で確認された感染者数は8399人、アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリアが大多数を占め8376人。死者数は4033人に達した。
空気感染しないが汗からうつる
もともとはエボラウイルスはオオコウモリが持っていた。そのウイルスが人にどう感染したのか。日本感染学会の東北大講師・中島一敏医師は2つのルートが考えられるという。1つは人がオオコウモリに接触したか排泄物に触れたケース。2つ目はオオコウモリから感染したサルなどの動物を人が食べたり血液や排せつ物に触れたケース。空気感染はしないが、患者の汗に触れても感染するという。
症状は発熱、嘔吐、下痢のほか、目や口、鼻から出血して致死率は50~90%と高く、特効薬はない。
潜伏期間長く検疫すり抜け...
齋藤孝キャスター「では、病院ではどんな治療が行われているのですか」
中島医師「点滴などの全身管理の方法が取られています。治療薬は開発中で、日本では抗インフルエンザ薬の『アビガン』が動物実験で治療できることが確認され、新しく承認されています」アビガンは富山化学工業が開発した抗インフルエンザ薬で、リベリアで医療活動中に感染したフランス人看護師がこの薬を投与され、このほど退院している。
日本で感染者が出たときはどんな対策がとられるのか。治療する仕組みはできているが、エボラ出血熱の潜伏期間は2~21日と長く、アメリカの感染例のように、発症する前に入国するケースはゼロではないという。本人も知らずに体調不良から普通の病院で治療を受け、感染が広がる可能性は否定できないようだ。