韓国・ソウル中央地検はきのう8日(2014年10月)、産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長(48)を情報通信網法違反で在宅起訴した。加藤氏が8月に産経新聞のウエブサイトに書いた記事が朴槿恵大統領の名誉を毀損したという。
しかし、記事の元となった記事を掲載した韓国紙はお咎めなし。日頃、韓国に批判的な産経新聞を狙い撃ちという意図が濃厚だ。
セウォル号沈没時に所在不明疑惑
問題の記事は8月3日の産経電子版に載った。旅客船沈没事故が起きた4月16日に、朴大統領の所在が7時間にわたって不明だったことを取りあげたものだった。韓国紙のコラムや証券情報を引用し、大統領秘書室長の国会答弁を踏まえて、男性と会っていたといううわさに言及していた。
これを韓国の市民団体が告発し、地検はこれを受けて加藤氏の出国を禁止して、3度にわたって事情聴取した。きのうの発表では、朴大統領は事故当日、大統領府の敷地内におり、記事は事実と異なり、当事者に事実確認も行っておらず、根拠もなく大統領の名誉を傷つけたと断じた。
産経新聞は熊坂隆光社長が「強く抗議するとともに速やかな処分の撤回を求める。憲法が保障する言論の自由に対する重大かつ明白な侵害だ」という声明を出した。声明はさらに、「日本の報道機関が日本の読者に向けて日本語で執筆した記事を、韓国が国内法で処罰することが許されるのか」と批判している。
最初に書いた「朝鮮日報」は書面による事情聴取だけ
司会の小倉智昭「これは納得できませんよね。韓国の新聞を引用して書いたんでしょ。(起訴では)それに触れてない」
笠井信輔ニュースデスク「男性と会っていたんではないかといううわさ話の方を当局は問題にしているようです」
加藤氏が引用した朝鮮日報については書面による事情聴取だけだった。この対応の違いに、日本新聞協会、日本外国特派員協会、国境なき記者団が強い懸念を表明したほか、韓国のソウル外信記者クラブも「深刻な憂慮」を表明した。
言論の自由を認めている政府がメディアに対してこうした処分を出すのは、極めて異例である。今後、このニュースが世界でどんな反応を起こすか。日本国内で反韓の不穏な動きにつながらないといいが。