ノーベル物理学賞の日本人3人受賞の興奮はまだ続く。赤崎勇・名城大教授(85)は名古屋で、中村修二・カリフォルニア大教授(60)はサンタバーバラでインタビューやらお祝いやらで大変なことになっている。しかし、いちばん愉快だったのは、フランス・グルノーブルに出張中だった天野浩・名古屋大教授(54)だ。地元メディアや駆けつけた日本のメディア相手に会見を開いたのだが、その最中に名古屋大学から連絡があった。「帰りの便はビジネスクラスでよろしい」というものだった。大笑いだ。
研究始めてからは一途...「土日も大学に行っちゃう。たまには遊んでほしかった」と長女
日本のメディアは天野教授の家族も追いかける。長女の彩さん(24)は京大大学院生で、キャンパスでつかまえた。「研究内容は知らなかったですね。子どもの時から土日でも大学へ行って研究していて、たまには遊んでもらいたかったです。でも優しい父です」
妻の香寿美さん(58)はロシアの大学で日本語を教えていた。フジテレビの電話で夫の受賞を知った。その後、グルノーブルとロシアを結んで夫婦の会話をそのまま流した。
「おめでとう。すごいじゃない」
「ありがとう」
「びっくりした、私も。よかったね。ずうっと頑張ってきたもんね」
「ありがとう」
「すぐお祝いできなくてごめんねえ」
「いえいえ、いまそっちは寒くないの?」
「きょうも雪が降ったよ。寒い寒い。でも、まだ30度下がるから大丈夫」
「体に気をつけてね」
「うん、パパもね。よかった、よかった。サプライズだね」
香寿美さんは声と動かない映像。生映像の天野さんは笑っているばかりだったが、最後に「土曜も日曜も大学へ行って、家事、育児の手伝いとかできなかってけど、一緒にいてくれてありがとうございました」
「こちらこそありがとう。あなたの忍耐のおかげでここ(ロシア)に来ることもできたし、幸せな生活です。全部パパのおかげです。ありがとう」
いい会話だった。
東京からの問いに、天野教授が「いまは食事、洗濯、ゴミ出し」もしていると明かし、香寿美さんは「内助の功は?」と問われ、「土日遅く帰っても何もいわなかったことでしょうか。結婚前の約束、条件でした」と話していた。
ところが、香寿美さんがロシアのどこにいるのかが出てこない。地図では中央アジアにマークがついて、映像もあるのに...。「とくダネ!」も困ったものだ。
天野教授の母親「何でも1ランク落として安全圏を歩く。そういう人」
浜松に住む天野教授の母・祥子さん(79)も愉快だった。「勉強は好きでないといってましたよ。ソフトボールではキャッチャー、サッカーではキーパー。スポーツばかり」「共通一次の成績が思ったより低かったので、京大志望だったのを名古屋大に。何でも1ランク落として安全圏を歩く。そういう人」
なにやらボロクソだ。「(転機は)赤崎先生の教室には入ったことだと思いますよ」
赤崎教授にはしごかれたらしい。天野教授は「論文を30回も40回も書き直されました。大きな刺激になりました。研究に参加させていただいたことが、いまここにいる理由です」という。
これを聞いた赤崎教授も「私も同感。青色をやると決めたとき、最初に飛び込んできた学生が天野君だった。それがのめり込んで、文字どおり二人三脚になった」と語る。
その赤崎教授も少年時代はガリ勉ではなく、スポーツ優先だったのだそうだ。大学時代も「山ばかり登ってた」
司会の小倉智昭「2人とも勉強よりはスポーツだったということですか。ボクもそうだったんだけど、こうなっちゃった」(笑い)
菊川怜キャスターは「こうなっていいじゃないですか。なに言ってんですか」と本気で受けている。菊川はホント冗談が通じないんだよなあ。
小倉「親の育て方も本人の努力もあるんだろうけど、みんな楽しそうに生きてますね」
為末大(元プロ陸上選手)「好きでしょうがないというのが一番の原動力なのかな」
小倉「努力と一途な心ですね」
宋美玄(産婦人科医)「研究が好きで好きで、他を犠牲にしてるのに、家族のかたがすごい(笑い)。すばらしい家族に支えられてるんでしょう」
小倉「天野さんは炊事、掃除、洗濯、全部自分でやってる」
ノーベル賞で注目の文学賞は日本時間できょう9日午後8時に発表になる。06年から毎年名前が上がっている村上春樹(65)の名前が読み上げられるのか。世界中の「ハルキスト」が見守る。