大型の台風18号がちょうど放送開始のけさ6日(2014年10月)午前8時すぎに静岡・浜松に上陸した。そのまま横浜、東京の都心を横切って昼過ぎには東方海上へ抜けた。いつものように各地にリポーターが出て順に状況を伝えたが、大方はただの賑やかし。このやり方、何とかならないものかと思ってしまう。
時間的に本当に台風らしかったのは静岡・用宗海岸だけで、カメラに雨粒がぶつかり、海がかろうじて見えるような状態だ。女性リポーターは「この通りずぶぬれです」と雨具を見せたりしている。そんなもの見たいか。むろん、テレビの台風報道はリアルタイムに気象、警戒、交通の情報を提供することだが、背後に動く絵がほしいということだろう。リポーターはそのつなぎになる。だが、場合によっては狼少年にもなりかねない。
「体が揺れるほどの強風です」後ろの岸壁で鳥がのんびり羽休み
東京・渋谷にいた岸本哲也レポーターなどはわざわざ雨どいの下に立って、「滝のような」というが、駅前のスクランブル交差点では通行人は普通に傘をさして歩いていた。岸本も「雨靴をはいている人はほとんどいません」。はては「手すりが濡れていますのですべりやすく...」だと。雨の日はいつもそうだよ。
お台場はいつも風が強いので、台風のときはそれらしくなる。ただし人がいればだ。木下康太郎アナがいたが、人はいない。暴風域がやっと神奈川にかかった時間帯だから、雨も風もほどほど。「スニーカー、ヒールが多いです。これからひどくなりますから」。まあ、苦しいのはわかるが...。
銚子からは小柳美江アナ。ヘルメットにブレーカーを着ているが、きのうは出雲大社で高円宮家典子さんの結婚式をリポートしていた。まあ、ごくろう さま。「小雨ですが、強い風が吹き始めまして、時折体が揺れる...」というが、後ろの岸壁には鳥がずらりと並んで静かに羽根を休めていた。
もやめたら...「雨合羽にヘルメット姿のレポーター」
田中良幸アナは御嶽山の王滝・スキー場のあたり。土石流が懸念されるというが、風はあるものの雨はたいしたことない。したがって「もしも」というお話になる。少なくとも12人の不明者の捜索はできない状況だけはわかった。
いかに使い捨て映像のためとはいえ、これだけの人間のもっといい使い道はあるんじゃないかといつも思う。雨と風のなか、ヘルメットに雨合羽でワーワー叫んでいる姿を見るたびに、「どけ、現地の映像をもっと見せろ」といいたくなる。舌足らずの言葉より、ときに映像ははるかに雄弁だ。
司会の小倉智昭は「東京では本当の台風を経験した人が少ない」
菊川怜キャスター「あまり記憶がない」
ただ、台風が続く。次の19号も本土に接近するとみられ、これも大型だという。