学校の勉強についていけない...「先生は塾通いが前提の授業」
あかね(14)が不登校になったきっかけは授業についていけなくなったことだ。「先生は、みんな塾に通っている前提で授業を進めてしまう」。母は月収10万円のパートタイマーで、塾通いは金銭的に難しい。わらにもすがる思いで、青砥さんのNPOでの勉強が始まった。「高校では好きな美術に打ち込みたい」。あかねの目標は美術部の活動がさかんな公立高校に合格することだ。
彼女の葛藤がにじんできたのは、高校入試の面接練習のシーンだった。「中学生活で頑張ってきたことは」という問いに、あかねの目は泳ぎ、思いが言葉にならない。何度も喋りだそうとするが、最初のひと語が出てこない。不登校だったと言ったら落ちてしまうのではないか。青砥さんはそんなあかねに声をかける。
「『中学にはあまり通えていなかったけれど、好きな画の勉強を頑張ってきました』じゃ、だめなの?」
途端に表情がほぐれ、「それでいいんだ」と言葉が漏れた。
青砥さんが中退した若者200人から聞き取りを行ってかったのは、貧困家庭が抱えるリスクは、稼ぎ手不在という家庭環境や学校教育から離脱したことにも起因するコミュニケーション能力不足など、幾重にも絡み合い、解決を困難にしているということだ。NPO自体の資金繰りなど課題についても番組で伝えられた。「貧しいから教育が受けられず、教育が不十分だから良い職に付けません」という単純な因果関係に落とし込まず、問題に向き合う姿勢が伝わってくる内容だった。再放送だったが、何度見ても問題の大きさがやるせない。(放送2014年10月3日深夜0時)