急激円安!物価は上がる、中小企業は青息吐息、大企業の輸出は増えず...

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   1日(2014年10月)の為替市場で6年1か月ぶりに1ドル110円台をつけ、円安は2か月間で8円も進んだ。輸入食品の値上がりはすでに消費者を直撃しているが、輸出は期待ほどには伸びていない。円安のプラス・マイナス計算にかつての図式は通用しなくなってきた。

   円相場は3年前の1ドル75円台を最高値に、アメリカ経済の回復に伴って下がり続けているが、8月以降の急落は米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が「ゼロ金利政策解除前倒し」を示唆したため、市場が反応した結果だ。

埼玉・川口市の鋳物工場「想定は1ドル100円。企業努力の範疇を越えた」

   東京都内のスーパー「アキダイ」では、この1か月で豪州産牛肉が2~3割、カナダ産豚肉も1割、国産の牛乳ですら輸入飼料の急上昇を反映している。秋葉弘道社長は、「客が喜んでくれる品物はもうない」という。かたわらで主婦が「給料は全然変化がない」

   9月の日銀短観では、大企業(製造業)は2か月ぶりに改善していたが、中小企業では悪化していた。中小企業の悪化の主たる要因は原材料価格の値上がりだ。埼玉・川口市の従業員38人の鋳物工場は大手に金属機械の部品を納入しているが、この1か月で銅の値段が1トン当たり3万円も上がった。1ドル100円で想定していた営業計画が吹っ飛び、大手に価格転嫁を要望したが、聞き入れられたのは全体の1割に過ぎない。社長は「企業努力の範疇を越えた。日本の鋳物業界の死活問題だ」という。

   円安は来年にかけて「115円まで」ともいわれる。経団連の榊原定征会長も「これ以上の円安は日本全体にとってマイナス面が大きくなる」と言う。しかし、大企業はそれほどでもない。みずほ銀行の試算では、10円円安になると、上場企業のプラスは1.9兆円だが、非上場では1.2兆円のマイナスと出た。また、同じ上場企業でも、機械・電気機器や自動車などではプラスだが、卸・小売、サービスではマイナスだ。

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