未遂児童で「走って逃げた」は半分。2割が「何もできなかった」
2人の小学生の母親で、子供を狙った犯罪の調査や対策を研究しているNPO体験型安全教育支援機構の清水奈穂代表はこう報告する。「私たちが調査したところ、連れ去られようとして、走って逃げたが46.4%、大声を出したが2.5%、防犯ブザーを鳴らしたが0.8%、何もできなかったが19.7%でした。いままでやってきた教育の中の安全教育面が機能していないんです。不十分であることを示していると思います」
国谷裕子キャスター「どういった環境下だと子どもたちは危険な目にあいがちなのですか」
清水代表「犯罪というのは心、時間の隙間から生まれます。とくに時間の隙間で狙われることが多いんです。下校時の30分~1時間はパトロールの方たちがたくさんいて見守ってくださるんですが、それが終わった後に子どもが一人で歩くことになるんです。夕方で人々が忙しくなっているときで、子どもに目が注げなくなっている隙間に起きています。場所も通学路、公園、駐車場、公衆トイレが多いですね。
私たちは瞬間ボランティアと呼んでいるのですが、この子大丈夫かなと声を掛けてくれる人が一人でも増えればいいなと思っています」
「子どもたちを見守る」から一歩進めた「実践的な防犯教育」に取り組む学校も出てきた。静岡県では子どもを守るにはどうしたらいいかという防犯講座を開設し、そこで学んだ地域住民が防犯アドバイザーとして子どもたちに防犯意識を教える。小学校で開いたその防犯教室の模様が紹介されたが、不審者に背後から羽交い絞めにされたときは、両腕を上げて不審者との間にスキができた一瞬を利用して逃げる動作を教えていた。これは武道の技の一種を応用したものだが、大人の男にがっちり羽交い絞めにされた女児が実際に活用できるか疑わしい。
要は盲点をつくらないことだろう。この防犯教室でも児童はランドセルに防犯ブザーをぶら下げていたが、大人がスマホを手に持って歩くように、一人で歩くときには必ず防犯ブザーを手に持って歩くことを教えた方が実践的ではないか。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年10月1日放送「どう守る?子どもの安全~相次ぐ『連れ去り』事件~」)