御嶽山の噴火で頂上付近に取り残された登山者の救出活動はきょう30日(2014年9月)午前6時、火山性微動が活発化したため中止になった。きのうも有毒ガスの発生で救出・搬送作業は午後1時からストップしたままだ。これまでに12人の死亡が確認されたが、心肺停止の人たちはなお24人が山頂付近に残されており、ふもとの駐車場に残された無人の車などから、まだ発見されていない登山者もいると見られる。
ジェット機並みのスピードで飛んできた噴石
突然の噴火で登山者が見たものは何だったか。それを写した映像があった。画面いっぱいに雨のように噴石が降り注いでいる。ザーッと雨のような音が包む。直接当たったらひとたまりもない。撮影者は死を覚悟したという。
奇妙なことに噴煙はなく、遠くの岩尾根も見えるが、噴石ははね返って飛び散るだけでなく、谷の底から空中に吹き上げられてもいる。こぶし大のもの、さらに大きなものもある。
撮影者は頂上へ登ったあと、9合目の奥の院に向かったところで噴火に見舞われた。奥の院は頂上よりも今回の最大噴気口に近い。その後、近くの山荘に避難して助かったという。
専門家は「貴重な映像です。石が飛んでるところなんて...」という。噴石のスピードは秒速数十メートルから100メートル、最大で200メートルという観測記録があるそうだが、これはジェット機並みだ。「1センチの石でも死んだ例はあります」
遭難した人の大半が噴石にやられたと見ていい。名古屋市の浅井佑介さん(23)も噴石の直撃を受け山小屋に駆け込んだが、そこで息を引き取っていた。噴火の直前に、両親にメールしていたという元気な姿が悲しい。
助かった人たちも噴石が背中に当たってやけどをしたり、背負っていたザックの中の魔法瓶がつぶれていたり、頭に当たっていたらそれっきりだったに違いない。
山頂周辺で噴石直撃と火山灰吸引
別の映像では噴煙の凄さがあった。頂上の山小屋の窓ガラスに噴煙がかかったとたんに真っ暗になった。全く光を通さないのだ。ドン、ドンと絶え間なく屋根に落ちる噴石の音に怯えた女性の悲鳴がする。ドカンと大きなものもある。外でこれにまかれたら呼吸もできまい。これで倒れた人も多いはずだ。
これまでにわかった死者・心肺停止者は頂上付近が22人、王滝頂上付近が14人で、頂上付近が過酷な状態だったことがわかる。
司会の羽鳥慎一「石のスピードが凄いですね」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「人間の存在なんてちっぽけなもの」
高木美保(タレント)「あんなに真っ暗になるなんて」
ヘリからの映像がこの日の噴気の状態を写していた。きのうは水蒸気が主の白い噴煙だったのが、けさはやや灰色がかっていて、専門家は「灰が多くなっている」という。山頂近くの大きな噴気口から谷の反対側に100メートルも離れたところに小さな噴気口が開いていたほか、尾根を越えた先の斜面からも噴気が認められた。