気象庁は御嶽山の噴火を「前兆をとらえ予知するのは難しかった」と説明している。火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長も「水蒸気噴火は突発的に起こることが多く、予知は非常に難い」と語っている。果たしてそうか。
気象庁は噴火(27日午前11時52分)する10分ほど前に火山性微動、7分前には山頂南東3キロに設置された傾斜計で山体が膨らみ変形していたことを観測していた。
御嶽山では10分前に火山性微動、7分前に山体膨張
コメンテーターのロバート・キャンベル(東大教授)は「7分前に山の形が変わったり、火山性微動があったりと、短いスパンだけれども警戒に繋げることがこれからの課題ではないでしょうか」という。
東大地震研地震噴火予知研究促進センターの青木陽介助教はこんな提案をする。「7分前に山が変形したり火山性微動が観測されたりは、明らかに噴火の前兆です。それが分かったとして、登山している人や山の関係者に伝えるシステムが必要になってくると思います。たとえば、シンプルな方法だが、山頂に避難警報のサイレンが鳴るようなシステムとか...。
日本には110の活火山があり、そのどれもが噴火のリスクがあります。強調しておきたいのは、戦後の日本では火山活動が全体的におとなしかったんです。ですから火山噴火を経験している人が少ない。やはりリスクがあることを認識しておくべきでしょうね。観測網があって火山の噴火は予知できると一般的には言われていますが、本当にそうだろうか。今回はそれを問う機会であると思います」
山が変形したり、火山性微動が噴火の前兆なら、それがわずか7分前という短時間であっても、まったくの突然に比べたら避難行動はだいぶ違う。今回は予知体制の盲点をつかれたという印象がぬぐえない。